三本足鳥の囀＠麻生壱埜

本作は、富士見ファンタジア文庫歴代作品のキャラクターが登場するクロスオーバーゲーム。

ちょうど11〜12月に「テイルズ オブ ザ レイズ」でスレイヤーズコラボイベントが開催されたことを切っ掛けに、原作再始動後のスレイヤーズの動きを調べてみたところで本作が配信されました。
と言っても現時点での参戦作品をスレイヤーズ以外ほぼ知らないため、その時点では遊ぶ気はありませんでした。しかし配信直前の各社レポートで、序盤がスレイヤーズメイン回、且つ最初の仲間で主人公たちの師匠ポジションになるのがゼルだと分かり、そこだけ遊んでみよう、と思ってダウンロードしました。

というわけで、ゼルに会うのが目的だからすぐ終わるつもりだったのが、まさかオープニングイベントで１時間も掛かるとは……。 事前情報にも「ADV部分が長い」とありましたが、想定以上でした。
ただ、さすがに本職（ファンタジア文庫作者陣）が書いているだけあって、掛け合いのテンポが良く、シナリオ自体は面白いです。いささか複雑な世界設定も上手く説明できているし、未読作品の単語が出てきても置いていかれずに済んでいます。

そして、現在プレイ中のWORLD00は、ゼルが知見のある人物として非常に頼りになるのがいいですね。それでいてキャラクター性能自体はやや控えめな星３というところも、そうだろうなと納得です。

主人公は勝手に話さないタイプ。最初のうちは、ほぼ内容が同じ選択肢が並ぶことに意味があるのか？と思っていたのですが、これも話が進むうちに、自分が掛け合いの中に加わっている感を味わえて面白い仕掛けだと思いました。

これは、ソ連が存続している地球人と、存続していない地球人の会話（笑）。
また、原作読者としては、ここでお約束の選択肢を選ぶしかありませんでした。

本作オリジナルのキャラクターたちも魅力では負けていません。
特に、ヒロインであり、主人公の代わりに直接の戦闘も担当する記憶喪失の少女エンデが、なかなか面白いです。主人公の視点を補足する形で、時折エンデの視点も挿入されるので、W主人公という感じもします。

リナが登場するところまで進められなかったくらい大ボリュームで、冗長という意見も出そうなテキスト量ですが、メインターゲットが往年のラノベファン勢であることを考えると、これで正解なのかもしれません。

一方、ゲーム部分の作りは、ちょっと盛り込みすぎに感じました。 最初から色々な要素がありすぎるのと、独自の用語なので、飲み込むのに苦労します。

戦闘は、６人＋フレンド枠の合計７人を編成した状態から３人を操作する、コマンドバトル式。
率直に言って、この戦闘画面のSDキャラのデザインや動きは低予算っぽく感じます。ADVパートのキャラクターイラストとも落差があります。必殺技演出が飛ばせないとか、細かい点の配慮も足りない印象。

システム自体は、強敵が現れるウェーブに、ローテーションで前後を入れ替えると発動するスキルを上手く乗せるなど、先の手を考えながら戦う必要があって面白いです。
まさか、デイリーミッションのためにクリアを求められるEXP等の獲得クエスト（初級）が、解禁段階で挑むと全滅させられる難易度だとは思いませんでした。
メインストーリーの戦闘は易しいので、レベルアップしてしまえば、三竦みを多少無視して突破できそうですが、その育成要素も多数で、どう手を付けていいのやら……という段階です。

ローディングが異様に重いのも、どこに重くなる要素があるのか不思議です。配信初日のせいでしょうか。

ガチャは、キャラクター、育成アイテム、フラグメント（装備）がすべてまとまっている闇鍋形式。こういう「全部出てくる」ガチャは初めてなので、はじめて引いた時はビックリしました。
その上、キャラクターとフラグメントそれぞれに限界突破の概念があります。ここから欲しいものを引く幸運は、私には備わってないですね。
なお、コストの概念があるため、現時点では星５のキャラクター＆フラグメントだけで編成する、なんてことは不可能と思われます。こういった、低レアに活躍の要素を残しているところは好感が持てました。

正直なところ、ザ レイズとロマサガRSで手一杯なので、今後もプレイを続けるかは分かりませんが、前述の通りシナリオは面白いし、なによりゼルが格好いい＆可愛いので、少なくとも現在のWORLDをクリアするまでは進めたいと思います。