花とゆめCOMICS「かげきしょうじょ!!」11巻および「かげきしょうじょ!! 公式ガイドブック ON STAGE」感想
アニメ化したから、行動圏内の本屋でも入荷するようになるーーと期待していたのですが、叶わぬ夢でした。
発売日に「新刊」の棚を探して見当たらず落ち込んでいたら、別の場所に「今期アニメ化」という棚があったので、一瞬ぬか喜びするという二段落ちでした。本作に限らず、メロディ掲載の作品は本屋で買いにくい気がします。
11巻は、前巻から引き続き、高木先生の演技指導回。
さらさは、いまのところ良いところなし。授業は成長の場とはいえ、自分勝手にやっているだけだと成長するかも怪しいと思います。
一方、愛ちゃんがしっかりした演出プランを立てて挑んできたことに驚きました。しかも、考えたことを千夏にも伝えて理解させ、共有しています。コミュ症だった愛ちゃんの成長が感慨深いです。
ただ演技の方は、このまま素の愛ちゃんに寄せる一方では、役幅が広がらないので難しいかなとも思います。宝塚で過去には「笑わない」「クールビューティー」と言われていた大空祐飛氏だって、最終的には銀ちゃんやらファンキー・サンシャインのお天気キャスターやら、幅広い役を演じてましたからね。
杉本委員長がさらさのチームに入ったのは、意外な反面、それを辞さないくらい成長の糧を求めて貪欲になっていることに嬉しく思いました。
さらさは自分以外の役についてもさらさの中で完成させている、という見抜きも、さすが文化祭の挫折以来さらさを注視しているだけある分析と思いました。それに対抗する策の有無はまだ見えませんが、この辺で一矢報いるのでないかと期待しています。
それから、台本が「転」まで進んだことで、この「オルフェウスとエウリュディケ」という演目が本当にギリシャ神話を下敷きにしていることがわかり、物語の全貌が見えたことも良かったです。暴走しているさらさのギャングスター☆演技では、そんなシリアスな展開になる芝居だと思わなかったので(笑)。
高木先生が、「舞台に置いての創造主は僕」と宣言したのも、個人的には凄くツボでした。これぞ、俳優陣とは違う、演出家の醍醐味だと思います。
そんなわけて、演劇モノ好きとしてとても楽しく読めました。今回は予科生が絡んでこなかったので、演技指導話に集中できた点も良かったです。
公式ガイドブックは、インタビューなどを除けば、既出情報をまとめた内容で、ちょっとつまらなかったです。
部屋割りはさらさたちと双子のことしか触れられていなかったので、やはり杉本・星野・山田の3人部屋は、アニメ特有の設定かなと思いました。
七海ひろきくんとの対談は、「かげきしょうじょ」と関係なく単なる漫画オタクトークになってる箇所が面白かったです。