アイドルマスター SideM GROWING STARS 初イベント終了記念SS
イベントが終わり、がらんどうになった会場で、天峰秀は噛み締めていた。
今回の観客は決して自分たちのファンでなかったけれど、ライブの間に、自分たちを見る目が「C.FIRST」の商品価値を値踏みするものから、熱気溢れるものに変わっていくのを感じられた。自分たちが紡ぐ音楽のリズムで、サイリウムの海が波打つ。この３人で世界を変えていける、確かな手応えがあった。だが、なによりーー
「楽しかったですね！」
いままでも称賛の声は浴びてきたし、自分の音楽で多くの人を熱狂させてきたと自負しているけれど、こんな胸が高鳴るような楽しさは初めてだった。
それはたぶんきっと、今日の秀がひとりじゃなかったからだ。仲間で活動することを選んだのは間違いでなかった。
そう思いながら、秀は己を見守っていた先輩たちに振り向いた。
先に反応して頷いたのは、年長の眉見鋭心だった。
「よかったな」
ステージを降りると無表情に近い彼だから、一見するとイベントの成功にも一切の感情を動かしていないように見えるけれど、ほぼ毎日顔を合わせていれば、いつもより細くなった目や僅かに上がった口角から、なにを思っているかは分かる。
そういえば、なんでもできると思っていた彼から、実はコソ練していたと聞いた時は驚いた。でも、お陰で秀もちょっとだけ苦手なところを申告したり、教えを乞うたりしやすくなった。もちろん秀は天才なので、１人でも完璧に仕上げられるけれど、３人でする練習の方が充実していたのは間違いない。そうやって場を取り持ってくれるこの先輩を、秀は密かに頼りにしている。
「百々人、お前はどうだ。楽しかったか」
「……楽しい？ どうかな。ぴぃちゃんは褒めてくれたし、よくできていたと思うけれど……」
鋭心から名を呼ばれた花園百々人は、曖昧に微笑んだ。
謎めいたところはあるが、自身への要求レベルが高く、いつも一番長く練習をしているこの先輩のことも、秀は密かに尊敬している。ただ、どうも彼は自分の気持ちを言わないところがあるらしい。そういうところは苦手だった。ーーいかに秀が天才でも、言われないと、わからないこともあるので。
「楽しかったでしょ」
だから秀は気の利く後輩として、背中を押してやることにした。だって、せっかく３人でこの気持ちを共有できるのだから！
「だって百々人先輩、無茶苦茶笑顔でしたよ」
ライブで隣のポジションというのは、意外とよく見えるのだ。彼はいつだって笑顔だけれど、これまで見てきた笑顔とはまったく違う、紅潮した顔と客席の輝きを映し込んだような煌く瞳を、秀はちゃんと見ていた。
秀に言われると思わなかったのか、百々人は目を瞬かせていたが、仲間たちが自分を見つめていることに気付くと、少し照れたように視線を落とし、呟くように答えた。
「……そうか。楽しい。うん、僕も楽しかったんだ」
キャラクター情報が出揃っていない内は書きたくない派ですが、イベント終了時点の自分のC.FIRST解釈を形にしておきました。
最初は、先輩たちは秀の楽しさに同調していないのだけれど、秀は気付かなかったーーというお話にしていました。
ところが、その流れでざっくり書いた直後に、百々人が「ライブが楽しかった」とLINKで伝えてきたので、そのバージョンはお蔵入りに。LINKからの情報って侮れませんね。鋭心、君ももっと連絡しておくれ。
鋭心が直接「楽しかった」と言っていないのは、別に自分が楽しむ必要はない（観客を楽しませることが仕事）と考えているストイックさ故です。でも仲間に自分のそういう考えを押し付けはしないし、実際楽しかったとは思っているはず。
あと、秀視点だと10行に一回くらい「俺、天才だから」と言う気持ちを盛り込めるのが、非常に楽しかったです（笑）。
意外とイベント期間が短く、もう最終日であることに気付いて焦って周回しました。日曜夜終了で命拾いしました。
なんだかんだ、少しずつ上達してHARD譜面も叩けるようになったけれど、コンボがつなげられないので、フルコンボ出せるNORMALの方が成績が良かったのががっかりです。
特に、この片方を押したまま一方タップするところが一度も上手くいきませんでした。
練習モードがあればもう少し気軽に難易度を上げて挑戦できるけれど、スタミナ制が崩壊しちゃうから、スマホゲームでは難しそうですね。