アイドルマスター SideM GROWING STARS 天峰秀誕生日LINKSS
「アマミネくん、お誕生日おめでとう、と」
最後にクラッカーの絵文字を打ち込んで確定する。即座に鋭心のメッセージが続いた。
秀の誕生日祝いについて話し合った際、グループLINKへの最初のメッセージは百々人から送るように促されて、特に疑問も抱かず時間だけ決めて了承したのだが、もしや待たせただろうか、と懸念が脳裏をよぎる。この速度からすると、スマホを開いたまま、待ち構えていた可能性がある。この後落ち合ったら、念のため謝っておこうと心にメモをする。
そう、今日の放課後は、事務所へ向かう前に鋭心と落ち合うのだ。
秀への誕生日プレゼントとして、2人でケーキを買うことを提案したのは、百々人の方だ。
大事なユニットメンバーとはいえ、学生の身だから、貰う相手が負担に感じない消え物が良い、と力説した百々人に、鋭心は「百々人は相手のことをよく考えているな」と感心して同意した。実のところ、どうせ鋭心に勝手にプレゼントを買わせたら、男子高校生の小遣いを軽く超える高級品を選ぶに決まっているーーという偏見から先回りした提案だったので、今回ばかりは彼の称賛が少々心苦しかった。だが鋭心と比べてあまり見劣りするプレゼントは贈り難いし、かといって天井知らずに折半すると言えるほど、百々人の自由に使える金があるわけでない。315プロに入ったお陰で生活費の心配はないが、いつこのマンションを追い出されるとも知れないので、百々人は割と慎ましく生活しているのだ。
ケーキにしても、鋭心の行きつけだと少々値が張りそうだが、所詮はケーキだ。なんとかなるだろう。ーーでも、待ち合わせの前には、銀行に寄ってお金を下ろしておかなくちゃ。
懐が寂しくなりそうな予感の割に、百々人はどこか楽しんでいる自分がいることにも気付いた。
たぶん次に来る鋭心の誕生日には、今回のことを踏襲して秀と自分でケーキを買うのだろうし、その次に来る百々人の誕生日には、鋭心と秀がケーキを買ってくれるのだろう。2人とも、自分だけ祝われて、百々人を放っておくような人ではないから。それなら、来年は誕生日が来ることを楽しみにできるかも知れない。
「ーー僕たちの誕生日が、アマミネくんから始まってよかった」
鋭心が最初だったら、秀にプレゼントの相談は持ちかけられなかっただろうし、百々人が最初だったら、祝われても喜べなかったような気がする。暦の上では一番最後の秀から始まったからこそ、C.FIRSTの3人での祝いを楽しみにできると思えたのだ。
鋭心に任せるつもりだったが、やはり自分も、秀に食べさせたいケーキを考えておこう。そう決めて、百々人は少し気合を入れ直した。
百々人の生活費は給料で賄えると思うのですが、学費がどうなっているのか非常に気になります。マンションの管理費や光熱費は、親の口座から自動引き落としされているでしょう。そうでないと生活できないから、315プロは所属アイドル寮を至急作るべき!
……秀の誕生日なのに、変な方向に想像が膨らみました。
ちなみに、百々人が想像しているほど、鋭心先輩の金遣いは荒くないと思います。
今回のLINKは、鋭心先輩が選ぶケーキを妄想できるのも楽しかったです。
これが「俺が好きそうなケーキ」リクエストだったなら、ふとした会話の中で秀が好きだと言ったものを思い出した可能性もあるけれど、「食べさせたいケーキ」リクエストだから、果物路線で思い付いていそうだと思います。まあ、全国のプロデューサーがほぼ同じことを考えていそうですが。