アイドルマスター SideM GROWING STARS 楽曲ネタ

GROWING STARS

 新曲の楽譜とデモテープを渡されて、そのままミーティングルームで目を通す。
 それは初めてのことでなかったけれど、その日の翼は、うわぁーーと思わず声を上げて、輝と薫の視線を集めてしまった。

「あっ、すみません。ちょっと歌詞にビックリしちゃって」

 今回は恋愛ソングだとプロデューサーから聞いて、アイドルらしい甘酸っぱい恋の歌をイメージしてきたのに、タイトルからは想像もしなかった軽妙なメロディに、抑えられない想いを乗せてぶつける攻めた楽曲だった。途中に台詞があるが、これも現実ではなかなか言う機会がない一言だ。ーーいや、年の離れた弟妹を呼ぶときに、言ったことはあるかもしれないけれど。
 アイドルとしては年齢が高いDRAMATIC STARSならではの歌になりそうだが、自分がこの歌に相応しい男の色気を出せるかと考えると、不安と気恥ずかしさに襲われて翼は眉を下げた。また、そんなことで不安がっていること自体が子供っぽいのでないかと、悩む部分もあった。
 そんな翼の気持ちを引っ張り上げるように、年上の仲間たちは気後れする心を肯定してくれた。

「その気持ち分かるぜ、翼」
「僕も同感だ」

 輝と薫の意見が珍しく一致したことがまず嬉しくて、途端に翼の中に、新曲に対する浮き立つ気持ちが戻ってきた。
 そうだ。自分一人では様にならないかもしれないけれど、輝なら強引さもスマートに魅せてくれるだろうし、薫なら色気の乗った歌声で客を魅了してくれるだろう。二人が引っ張ってくれるなら、自分だってなんらかの役には立てるはずだ。三人は運命共同体なのだから、協力して表現すれば良いのだ。
 ほっと笑みを浮かべると、二人は優しく頷いた。

「月夜に唆されたってのは、弁護材料にもならないよな」
「こんな衝動的で自制心のかけらもない男に辟易するのは、無理もない」

 ーーあれ?
 予想と異なる反応に、翼は目を瞬かせた。
 チョイ悪男の雰囲気でファンをドキドキさせる歌のはずが、ダメ男の言い訳ソングにされてしまっている。挙げ句、共感は難しいけれど仕事だから頑張ろうと励まされるに至ると、強引な男は格好良く見えるらしいだなんて言うことも躊躇われる。
 二人の優しさに心を温めながら、歌の世界観を表現するために俺が頑張らなければ、と翼は決意したのだった。


実はあまり歌詞を真面目に聴いていない人間なので、歌ネタは気が引けるのですが、そろそろDRAMATIC STARSがイベント担当かなと考えていたら、急に脳内の輝と桜庭がしたり顔で翼に語りはじめました。

なお、こんなSSを書いておきながら、GROWING SELECTIONイベントではひとまず「DRAMATIC NONFICTION」を出して欲しいと心から願っている私です。
人気曲なのは分かっているし私も好きですが、若干変化球という感じがあるので、3曲目くらいにリリースして欲しいです。

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