アイドルマスター SideM GROWING STARS 楽曲ネタS.E.M編

GROWING STARS

本家イベント開始前日に滑り込みです。

「ええー……おっさんが歌っていい曲じゃないでしょ」
 315プロ内楽曲コラボ企画で、S.E.Mは「MOON NIGHTのせいにして」を歌うと通達された瞬間、山下次郎は項垂れて猫背を更に丸めた。
「Why? 俺、very excitedだよ」
「るいは良いよ。でも、おっさんの需要ないでしょ」
 だからといって、もふもふえんの可愛らしい歌に変えるか、と聞かれたら謹んでお断りするところだから、次郎も本気で嫌がっているわけでない。ただ、自分がこの曲を歌う実感がなかった。
「プロデューサーによれば『MOON NIGHTのせいにして』を企画に加えることは、ファン投票で決まったと聞いている」
「Popular songだもんね!」
「その楽曲を担当させて貰えるとは、我々にとって大変光栄なことだ」
 S.E.Mが評価されたことに感動している道夫と、うんうんと楽しげに頷く類を見ていると、嬉しいのに素直に喜べない自分が情けなく感じる。だが、後ろ向きな気持ちで仕事をするわけにはいかないからこそ、次郎は気持ちを吐き出さずにいられなかった。
「でもファンのお嬢さん方は、伊集院とか、葛之葉とかが歌うのを聞きたかったんじゃないですかね」
 色気のある男、抱かれたい男、ワルイ男。そんな男たちが歌えば、女性たちも歓びの悲鳴をあげながら卒倒するだろうけれど、髭のおっさんが歌っても失笑されるだけでないだろうか。……いや、本家となる天道先生も髭は生やしているけれど。
「なにを言う」
 そんな弱気を、道夫は力を込めて否定した。
「山下君の歌には誰にも負けない色気がある。私は君がいるからこそ、我々S.E.Mがこの曲に選ばれたのだと思っている。自信を持ちなさい」
「は、はは。ありがとうございます……?」
 何度目でも、真っ直ぐに褒められると照れるものだ。しかも年上の同僚から色気を褒められるというのは、妙な可笑しさがあるなと次郎は思う。
 ふと、道夫が思案する顔になった。
「先程の理由は私の主観だが、客観的に考えれば、曲の世界観を考慮して、未成年者が含まれるユニットは除外した可能性もある」
 確かにJUPITERもLegendersも、未成年のメンバーが含まれている。
 そう言われてみると、確かに子供に歌わせるような歌ではないから、成人済みのユニットを選んだ可能性は高い。
「あれ、そもそも成人だけのユニットって、うちとドラスタとーー」
「FRAMEだね」
 瞬間、納得してしまった。
「……それは、うちがやるしかないですね」
 清廉潔白な元公務員の皆さまが「奪わせてもらおう」とキメたら、別の意味で悲鳴が上がってしまう。需要はあれど、イメージ戦略的に問題があるだろう。
 元教職でも問題はある気がしたけれど、今回の楽曲は生徒に向けたメッセージではないから許してもらおう。それにーー
「じゃあ、思い切り月夜のせいにしますか!」
 すべては月夜のせいなのだから、仕方ない。


2022年2月現在、成人年齢は20歳です。
4月に改正後民法が施行されたら話が変わってしまう!と気付いて慌てて執筆。ちなみに、Legendersはそもそも平均年齢が高いし、想楽も落ち着いたキャラクターだから、19歳なんだと知って驚いた口です。

初のS.E.M書き。

GROWING STARS

山下先生も硲先生も頭がいい人なので、それらしく書くのは大変だと思ったのですが、硲先生は真っ直ぐな人だから、スラスラ発言してくれて意外と書きやすかったです。舞田先生は、どこまで英語を入れた方がいい塩梅か悩みました。

S.E.M版ムンナイは、限定盤特典なので残念ながら聴いたことはありません。Jupiter版スマイルエンゲージも収録だし、4巻だけでも買えばよかった……。
個人的には、北斗は遊び人だけれど肉食っぽさを感じていないので、ムンナイが似合うかは疑問です。冬馬もそういうタイプでないし、一番似合うのは翔太だったりして。無論、もし歌うことになれば三人ともちゃんと表現してくると思います。
そして作中で否定してしまったけれど、FRAMEのムンナイはあったら聴いてみたいです!

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