第三回Altessimo（アルテッシモ）編
音楽で構成されたユニット
Altessimoは、アニメ軸では315プロに所属しなかったユニットのため、メインストーリー６話での登場やエピソードゼロはあっても、長らく「よく知らない２人」でした。
アニメで取り上げなかったユニットは他にもありますが、神速一魂なら元々相棒関係だとか、Cafe Paradeなら同じカフェの仲間だとか、繋がりが明確でユニットの在り方が掴みやすかったのに対し、Altessimoは２人の関係性もよく分からなかったのが要因です。
それが、４月上旬のイベント「Infinite Octave！」で一気に好きになりました。
このイベントストーリーで「自分たちの音楽を届ける」という信念が、Altessimoの肝なのだと私は理解しました。
本人たちが悟っている通り、知名度を上げるなら大衆に阿るべき時もあるけれど、自分たちの音楽を届けられないなら、二人にとって価値がないわけですよね。二人もトップアイドルを目指してはいるけれど、それはトップアイドルならより多くの人に自分達の音楽を聴いてもらえる＝必要とする人に届く、という理由のように思います。
私は現実と譲れない信念の折り合いを付けていく人が好きなので、自分達の音楽を曲げないし、その一方で、音楽だけやっていれば良いと思っているわけでなく、不得意なトークイベントにも一生懸命取り組む姿勢に好感が持てました。
そして、年齢も人間性も違い、共に話が不得意な２人が、驚くほどお互いを理解し支え合う関係であることにも感心しました。
これもまた「音楽」という共通言語があるから、深く繋がれたのでしょう。
どこを切り取っても音楽が出てくるユニットだと思いました。
音と遊ぶ都築圭
「Altessimoの音楽」に説得力を持たせているのが、都築圭さん（c.v.土岐隼一氏）の歌唱力であることは間違いないでしょう。それも、癖がない正統派の歌巧者である点が、実にAltessimoらしいと思います。
その都築さんの歌声が、神楽麗くんのやや硬質な歌を優しく包み、時には綻ばせることで、Altessimoの音楽に深みが生じているように聞こえます。
その都築さんは、謎の人で、接するたびに新鮮な発見があります。
浮世離れしすぎていて、この人はどうやっていままで生きてきたのだろう、と思います。いっそ、水しか飲まない本物のフェアリーなのでは？と思っていたから、バレンタインチョコを食べることに驚きました。
また、エピソードゼロ時点で友人の家に住んでいることは推測できていたけれど、アイドルエピソードにて正しくは「友人夫婦の家」だったと判明して仰け反りました。
私は「新婚夫婦の家に住み着いていた夫の友人男性」という人を知っているのですが、それは昭和の話ですし、年単位の話ではなかったはず（そして奥さんが本当は嫌だったことも聞いています）。夫妻にも、平然としている都築さんにも驚かされました。
率直に言って、どう頑張っても私には理解も共感もできそうにない人です。
ただ、都築さんが神楽くんと神楽くんの音楽を愛していることは確かだから、そういう芯がある人なら、他は理解不能でも大丈夫かなと思えるようになりました。
音に従う神楽麗
都築さんが謎めいているのに対し、神楽くんは、古風な喋り方を除けば結構普通の子だと思います。
年齢の割に落ち着いているけれど、私は、音楽をやっている子は早熟な面があると思っているので、違和感はありません。そうでなくとも、都築さんのような人とユニットを組んでいたら、自分がしっかりしようと発起しそうです。
でも実際には、都築さんがいてくれるからこそ、その存在を支えに、神楽くんも活動できているのですね。
正に持ちつ持たれつ、２人ユニットならではの関係性です。それは「閉じた世界」になる危険もありそうですけれど、意外とAltessimoの２人は大丈夫そうです。
恐らく、２人が真に音楽家だからでしょう。
一般的な音楽教室に楽器を習いに行くと、大抵は発表会がセットになっています。単に弾けるようになりたいだけの受講生に、聴衆の前で弾かせる必要があるのか？と思っていたのですが、真の演奏者にとって、音楽というものは誰かに届くことで完成するからという理由を、Altessimoを見ていてようやく理解できました。
あと、神楽くん、315プロでは貴重な犬派ありがとう。
