第九回神速一魂（シンソクイッコン）編
陰と陽、神速一魂
一目見た時点でヤンキー、それもある種のファンタジー存在である「良いヤンキー」だとわかる２人ですが、世直しのため、という志望理由は全く想像できませんでした。
Beitの「世界平和」は、笑顔が伝播するという基本を抑えれば、気宇壮大さに気圧されはしてもアイドルらしく理解できる目標です。しかし、アイドルがメンチを切ることでTVの向こうの悪人を震え上がらせ犯罪を抑圧するーーというのは、何回聴いても謎理論だと困惑します。
このアイドルになった理由然り、神速一魂に対するイメージは、良くも悪くも朱雀が大部分を担っているように思います。朱雀が目指す方向を示し、玄武が実現のため道を整える、というイメージです。
そのため「オウケン高校の総長と相棒」とは、朱雀総長と支える玄武の図だと思っていました。シナリオを読んでしばらく経ったときに、総長は玄武の方だと気付きました。No.1の代わりにNo.2が実務家なのは、組織としてよくあるパターンですし、衣装の刺繍が「忠義」だし、玄武の本質は優等生で、朱雀の漢気に惚れてヤンキーをやっていると思い込んでいたので、ちょっと意外でした。
しかし組織としてのリーダーは玄武だとしても、その指針が朱雀なのは間違いありません。
他の２人ユニットがお互いの方に向き気味なのに対し、神速一魂の２人は背中合わせ、あるいは肩を並べて前を向いているイメージがあります。そして、玄武は時折朱雀の方を見て行き先を確認しているけれど、朱雀は玄武も同じものを見ていると疑わず視線を前に向けていそうです。
……と書いていたら、完璧な新ジャケット写真（GROWING SIGN@L 11 神速一魂）が出てきて感服しました。
もちろん、二人は無二の相棒だけれど、朱雀と玄武は本質が違う人間で、玄武はそれを重々承知している一方、朱雀は結構無邪気に一心一体だと信じているのだろうなぁと思います。
真っ直ぐに燃え上がる紅井朱雀
学校の成績で評価すると頭は悪いけれど、本質を見抜く力はあって、正義に篤い、ザ主人公タイプの男の子。
朱雀を普通の高校生の物差しである「High×Joker」にあてると、四季と同い年、隼人の年下、ということにビジュアル的なギャップがあって頭が混乱します。でも喋ると、男子高校生レベルだなと納得できました。
イベントストーリーにて、憧れのバイク仕事が来てテンションが上がりまくる様子は、実に可愛かったです。
LINKで平仮名が目立つメッセージを送ってくるのが微笑ましいですけれど、ヤンキーだから、もしかすると無駄に難しい漢字は書けたりするのかもしれません。
勉強のできないお馬鹿っぷりが四季や春名以上に目に付くのは、相棒が玄武だから比較されてしまう点もありそうです。
朱雀の考える「世界」は、善と悪が割とハッキリしているのかなぁと感じます。
悪事の抑止圧になろうとしているということは、犯罪が起きるのは環境とかではなく、意思だと思っているわけですよね。
本人が「根っからの悪人はいない」と言っていたし、その辺の解釈を問うても、明確な回答は得られなさそうだけれど、朱雀は「性悪説」に基づいて世界と接しているのかもしれません。彼は「性善説」を信じている圧倒的光属性キャラなので、この解釈はおかしいですが、私が共感しようとすると、そうなってしまうのです。紅井朱雀……単純なようで難しい奴です。
両親がどちらも同じ職業をしていて、有名人で、息子が同じ仕事に就くことを期待しているという点は眉見家と同じですが、朱雀は二世のプレッシャーを見せることはありません。
親や周囲の期待を感じないわけではないだろうけれど、朱雀は自分というもの、やりたいことが固まっているから、その期待を振り切ることに迷いがないのだろうなと思います。そんな迷わない男だからこそ、玄武から指針として頼りにされているのでしょう。格好いい奴です。
ところで、朱雀がヤンキーになったのは、もしかすると茨城の鬼神（みのり）の影響なんでしょうか。特攻服を自室に飾っているのには驚きました。
朱雀は北海道出身・神奈川県在住のようだから、どこで接点を持ったのかが気になります。
文武両道、黒野玄武
相棒と違い、こちらは喋っても高校生らしくない、四字熟語で喋る系男子。惻隠之心とか、日常会話で使う言葉じゃないぞ!? 公式的にもネタなのか、「ROUTE77」イベントの公式四コマは笑いました。いい笑顔です（笑）。
全国模試１位という盛り過ぎ設定な頭脳派ですが、朱雀の謎理論を素で受け入れて肯定しているのを見ると、実は馬鹿なタイプだな？とも思います。「315プロのインテリ属性は概ね馬鹿」説が段々強まっています。
玄武について最初に注目したのは、デフォルト衣装の眼帯というビジュアルです。
眼帯男子は三割り増し格好良いと思う癖があるので、とても目を惹かれました。また、朱雀ともども戦国武将感があるので、伊達政宗モチーフかと思ったくらいです。でも京都出身設定なので、そういうわけでもなさそうですね。
とはいえデフォルト衣装以外では眼帯をしていないので、アイドルのキャラ付け要素にしては中途半端。プロデューサーが、どういう意図で眼帯を装着させたのか気になります。
玄武は元々視力が悪いのだし、ステージで片目は危険だと思っていたので、無理につけて欲しいというわけではないのですが……。
なお、施設育ちという設定は、玄武を考える上でかなり重要な情報だと思うのですが、サイスタでは今のところ触れられておらず、私は公式生配信でアイドルエピソードの先出しがあって初めて知りました。
いまの玄武からは、そういう背景をもとにした卑屈さを感じません。でももしかするとそれは、プロデューサーが関わるより前に「玄武は凄い奴だ！」と朱雀がたくさん肯定してくれたことで、威風堂々たる黒野玄武に変わったのかもしれませんね。
生まれ育ちでは苦労したことがないだろう朱雀みたいなタイプとは反発してもおかしくないけれど、実際の２人は無二の相棒で良かった！と思います。
<7/24追記>この記事を書いた後、「お仕事」時のランダムストーリーで「施設にいた頃」と語る玄武を発見しました。
…と一匹、にゃん喜威
こんなに可愛いのに、鳴き声が可愛くないので、にゃこの台詞があるといつも驚きます。
朱雀といつも一緒で、朱雀がテンパったときには的確な助け舟を出す、本当に頼れる仲間です。知能指数だけでいったら、朱雀より高そうです。というより、にゃこは朱雀を助けるべき舎弟と思っているかも知れません。
なお、朱雀とにゃこが四六時中一緒なことについては、ファンタジーと考えて処理していましたが、猫が一緒に泊まれるホテルはまだしも、猫が入れるファミレスはなかなかハードルが高いなと思いました。
朱雀が大好きなパンケーキを出してくれるようなカフェも、オープンカフェでもないと、動物お断りでしょう。
悪事を許さない神速一魂だから、ちゃんと店に断っている可能性が高いですけれど、割とおとなしい猫だから、ぬいぐるみだと思われていることもあるのでは？と思いました。
