アドベンチャーゲーム「RPGタイム!~ライトの伝説~」Switch版を開始。
現在地:スタートレイククリア
構想15年、開発9年という超大作インディーゲーム。
昔は「構想◯年、開発△年」が売り文句のゲームは、それだけ時代遅れになっていることもあったのですが、現代では、それだけ独自のアイデアを実現するために作り込んだ力作になっているなと思います。
本作は、ゲーム内でけんたくんが作った手書きノートRPG「ライトの伝説」を遊ぶというアドベンチャーゲーム。
創作物の中で演じる劇を劇中劇というのに倣うと、「ゲーム内ゲーム」ですね。
私の子供時代はTVゲーム黎明期だったので、個人が作ったゲームノートで遊んだこともあります。また、TRPGで遊んだこともあります。そういった私と同世代、もしくは少し上の世代にとって、懐かしさを感じると共に、ノートや小物の力作具合に度肝を抜かれる作品だと思います。
もちろん実際に作っているのはこのゲームの開発者なわけですが、作中では、画面に登場するすべてがゲームマスターであるけんたくんが作ったことになっているので、絵を描いて、ストーリーを書いて、演出を盛り込み、各キャラクターを演じ、シーンごとに適切な音楽を選び、人形やドットビーズといったアイテムまで用意している、その溢れる才能に感服してしまいました。
メジャーでライフ量を表すのも凄い発想です。在りものを活用して遊びに組み込むところが子供のアイデアらしいと思わせつつ、実際にも無駄がありません。
それから動きが豊富なのも、特筆しておきたいところ。「ライトの冒険」のオープニングからして、けんたくんが状況説明をしながら、元々描いてあった雲を塗りつぶして雨雲に変えるなど動的な要素があって、見ているだけでも面白いです。冒頭のタイトル画面でも、動かせるところが色々あって、一通り触ってしまいました。
秀逸だと思ったのが、ゲーム中に流す音楽は、けんたくんが好きなゲームのサントラから選んでいるという設定です。音楽は借り物というところが、妙にリアル感を与えています。
これらの要素が積み重なって、本当に学校の机の上にノート類を広げて遊んでいるような錯覚をもたらしています。こちらの意見を聞いてギミックを変えてくれたりするのも、その場で遊んでいる感があります。
まあ、机にこんな壮大な落書きをしていたら大目玉だし、そもそも、鉛筆で書いた主人公がこんな自在に動いたりするわけなくて、そこはコンピューターゲームの嘘なのだけれど、その嘘もリアルに感じるくらい没入感があるのです。
机を揺する=画面を揺らすという演出は、うまい!と思いました。
けんたくんのアイデアは本当に豊富で、同じ手法の画面はほとんど見当たりません。
シーンが変わるごとに、飛び出す絵本のような仕掛けだったり、パラパラ漫画になったりといろいろなギミックが盛り込まれています。
ここは動かせるかな?と思って操作すると大体何かしら反応があるので、飽きさせません。
なお、ゲームを開始すると、まずなにで遊ぶか聞かれるのですが、どうしても反応を見たくてバスケを選んでみました(笑)。
正に「打てば響く」という感じにけんたくんが反応してくれるので、間違った選択肢でも選んで見たくなるのです。
そして、説明書を作ったというので、最初はそちらを確認。
最初、説明書の見た目に騙されて「分厚すぎる!」と大笑いしたのですが、よくよく見たら段ボール製で、中身は電球や崩壊ギミックまで仕込まれた「説明書ダンジョン」でした。説明書のページをすべて読んで仕掛けを解くと「星の石板」が手に入り、宝(らくがき鉛筆)が手に入るという遊びが含まれているのです。こんなところから楽しさと驚きを仕込んでくるとは、けんたくんは根っからのエンターテイナーです。
どんなマップが用意されているのか説明書で教えてもらったけれど、ホラー面があるそうなので、今からドキドキしています。けんたくん、あんまり怖いのはやめてね……?
本筋である「ライトの伝説」は、オープニングイベントという感じに魔王軍の襲撃があって、ライトが吹き飛ばされた先の最初のステージを越えたところまで。
文字通り少ししか触れていないのですが、すでに一回ゲームオーバー演出を体験させられるなど、意外な展開があって、次はどんな形で楽しませてくれるのか、予想ができません。
サクサクプレイしてしまってはもったいないと感じるので、ゆっくり隅々まで触れ、けんたくんが用意したギミックを堪能してたくさん驚かされながらプレイしていたいと思います。