ロマサガRS リアム編ストーリー軸より。

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 異界の戦士と呼ばれる一人、アーサー・ダールトンがこの地に迎えられたのは、調査機関クラヴィスが扉世界を探索し始めてから三件目の調査によるものだ。
 つまり、クラヴィスに協力する戦士の中では相当の古株である。そのため組織がだいぶ大きくなった現在でも、調査員や救出された戦士は全員把握しているし、そもそも民間組織であるクラヴィスが、ロアーヌ侯爵家を拠点にしているのも、アーサーがこの地の法律や契約のあれこれを調べて書類を整えたためだった。更に各国から業務委託費を集めるようにして、資金繰を改善したのもアーサーである。お陰で調査員を増やすことができ、リアムという優秀な人材を確保できたのだが、それはまた別の話なので今回は割愛する。
 結果、アーサーは異界の戦士でありながら「クラヴィスの幹部」と目されるポジションに落ち着き、毎日書類仕事をこなす日々を送っている。
 そんな有能な法務書記官であるアーサーが見るに、クラヴィスは妙な組織である。
 この世界で起きている異変を調べ、人々を救おうとしているが、驚くことに公的な機関ではない。リーダーのダリアスが私財を投じ、彼の友人であるリャオ・ユウがその天才性で、実際に調査を進める状態に仕上げただけである。
 最初に事情を聞いたアーサーは、二人を山師だと思った。その評価が不満なら、夢見がちな正義の味方と呼んでもいい。そんなやる気のある若者が集まって勝手に始めた事業だったからこそ、アーサーのような、後ろ盾はなくても仕事のできる男が組織の中心に食い込む余地があった。なお、これ以上怪しい者が組織に入り込まないよう、アーサーが真っ先にルールを整備したことは言うまでもない。
 そしてなにより、結成の理由が「善意」だということが理解不能だった。
 自分の家族が異変の被害に遭ったので助けようとしているならば、理解できる。しかしダリアスは、仕事でもないのにただ世界の人々を助けようと言うのだから、余程の馬鹿か、或いは大悪党であるに違いなかった。
「客が異変に脅かされていると商売にならない。だから、人助けするのはちゃんと実家に利益があるだろ」
 一文にもならない面倒ごとを自ら買って出たことについて、ダリアスはそう説明するが、アーサーからすればそれこそ馬鹿げた理由である。
「不安が蔓延る世の中なら、それを解消するより、もっと不安を煽った後に適当なお守りでも売りつけた方が良い商売になるよ」
「アーサー、お前、俺より商売上手だな!」
 笑いのネタを提供したつもりはないのだが、ダリアスのツボを突いたらしい。法務書記官より商人になった方が儲かるんじゃないか、と笑いながら背中を叩いてくるのを、アーサーは無言でやり過ごした。
 白々しい空気に気付いたダリアスは手を引くと、今度は仕方なさそうに笑った。
「でもまぁ、嘘で儲けた金は一瞬で消えるものらしいから、俺には無理だな」
 そもそも金勘定が下手だから家を出てこんなことをしているわけだ、と自慢げに曰うのを見ていると、少なくとも彼の中では、最初に聞いた理由が真実であることを認めざるを得なかった。
 --こいつは白だな。
 そう判断した途端、アーサーは酷く疲れた気持ちになって嗚呼と嘆息した。
「あーあ、リーダーの影に隠れてコソコソ悪事を働く奴って、最悪だよね」
 アーサーの嘆きを偶然耳にしたヤクサルト辺境州の悪童は、一切の悪意なく聞き返した。
「なんだおっさん、自己紹介か」


アーサーは、メインストーリーの舞台がロアーヌだとよく登場するのに、戦闘要員じゃないとアピールするせいなのか、なかなかガチャが来ませんね。しかし戦働きをしないのにダリアスの右腕のような雰囲気をあれだけさせているからには、戦闘以外のところで、法律を盾に活躍しているに違いない、と考えたことを前半部にぶつけました。
そして後半部は、メインストーリー10〜11話に繋がる内容となっています。アーサーならではと思う活躍の仕方で、個人的にはかなり盛り上がりました。あと、バルマンテの相棒だったりダリアスとそれなりに信頼関係を結んでいたりするあたり、アーサーって基本的に愚直な男に弱いタイプだなと思ったりしました。
現在進行中の最終決戦はまたも留守番みたいですが、最後にもう一度出演してくれるかなと期待しています。
それにしても、サガスカキャラの初SSが、アーサーになるとは予想外でした。

そして、リャオ・ユウは身勝手な理由で事件解決を引き伸ばしておきながら、ダリアスに非難されると、知っている情報をペラペラ喋った挙句に「信じてくれ」と言い出すところが、非常に我欲に塗れた人間らしくて逆に良かったです。

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きっと、ダリアスしか友達がいないんでしょうねぇ……。

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