花とゆめCOMICS「かげきしょうじょ!!」14巻感想
2023年10月の発売を見落としていて、年末に買ったのですが、せっかくだから正月の暇な時間に読もうと思ったために、感想が遅くなりました。
本科の夏休みの終わりまで。
さらさの父親について、今回で決着がつくものと思っていたら、まだ伏せるんですね。しかも、いまは教えて貰えないことにさらさが納得したから、このまま、神の視点である読者は知っているけれどさらさは知らない状態で進むのかと思いきや、マスコミの探りが入ることになったので、周辺の配慮を無視した変な形で知ってしまうのかなぁと、モヤモヤもします。
さらさが煌三郎に父親なのか聞いて、否定されるのと同時に「なーんて」と茶化したところは、違うかもしれないとは思いつつ、父親であって欲しかったのかなぁと言う気がしました。
まぁ煌三郎が「いい人」かというと微妙ですけれど、さらさにとっては優しい大先生であり、尊敬できる歌舞伎役者であり、理想の父親に見えてもおかしくないですね。
でも暁也にとっては、さらさが煌三郎から卒業してくれたお陰で、改めてさらさとの関係を作り上げることが可能になったので、フラれた瞬間はショックだっただろうけれど、長期的に見ればよかったですね。再告白を待てなそうなさらさが可愛く感じました。
スピンオフは澄栖杏編。
あの無表情の下でなにを考えていたのか心情が明かされて、ようやく彼女を好きになれました。私も言葉選びが下手なので、読んでいて胸が痛くなる下りがあったけれど、杏がちゃんと自分の言葉で気持ちを口にできてホッとしました。
そして、大木先生が無茶苦茶格好いい一編でもありました。「君どち」の演技が云々という表面的なことだけでなく、生徒の表面的な「大丈夫」を鵜呑みにしたり、「本人が大丈夫と言っていたから」で問題を片付けたりはせず、ちゃんと話を聞き出せるまで付き合うところが、先生として信頼がおけて素敵でした。