改めて、PS5「ASTROBOT」総評です。

ASTRO BOT

ステージ攻略型のアクションゲーム。
日頃私が購入して遊ぶジャンルではないのですが、最初から最後まで非常に楽しく、メタスコア、ユーザースコアの高さも納得。全クリア後はちょっとした「アストロロス」を抱いているくらいです。

触れる楽しさに満ちたゲーム

とにかく触って「楽しい」と感じさせるゲームでした。

ASTRO BOT

アクションゲームとしての部分だけでも一定の楽しさはありますが、そこにPS5用コントローラー「Dual Sense」のハプティックフィードバックを活かした「自分の手でアストロボットの世界に触れている感覚」が加わることで、独自のエンターテインメント体験に昇華していたと思います。

例えば本作では、アストロが歩く地面の材質や形状によって、指先に伝わる感触と音が異なります。目を閉じていても、いま歩いている場所は氷の上だとか感じとれるくらいです。さらに、花弁、ガラス玉、髑髏、ダイス、鉛玉などのオブジェクトがぶちまけられていることが多く、それらがアストロの動きに合わせて物理演算で動きます。それだけと言ってしまえばそれだけのことですが、オブジェクトを掻き分ける感触だけでも笑ってしまうくらい楽しい体験でした。

ASTRO BOT

赤ん坊が最初に手に入れる遊び道具は自分の手だと聞いたことがあるのですが、本作にあるのも、色々なものに触れて、その感触を楽しむという原始的な面白さなのでした。
もし他社製コントローラー環境やリモートで本作をプレイして評価しているプレイヤーがいるなら、この作品の面白さを半分くらい損なっているので、やり直してみて欲しいと思うくらいです。

PS30周年の同窓会

本作では、過去にPSで発売されたゲームのキャラクターに扮したボットが登場します。このボットたちを集めることは、ゲーム上の目標でもありますし、「次はどんなボットが登場するだろう」とワクワクして、少し難しめのステージに挑戦するプレイ意欲にも繋がっていました。

そして、集めたボットたちがベースキャンプで一堂に会している様を見ていると、お祭り会場を回っているような楽しい気持ちになれます。

ASTRO BOT

みんなで協力してベースキャンプを探索する要素のおかげで、ただ集めただけに終わらず、300体のボットがクルーなんだと感じられたのも良かったです。
坊ちゃんがソウルイーターを発動したり、王子が塊を転がしたりという原作再現もあれば、被り物が脱げて慌てるなどボットが扮している故のコミカルな様が見られたり、好きなボット仕草を書き出すだけで1本記事が書けそうなくらいです。また説明文代わりの一言がクスリと笑えるネタで、作品を少しでも知っていると笑みが溢れます。

ASTRO BOT

それだけに、スクウェア・エニックスの許可が出なかったことは、開発元であるチームアソビにとっても残念なことだったと思いますし、プレイヤーとしても残念に思いました。

SCE系の5タイトルについては、ボットだけでなく原作オマージュステージも用意されています。
ステージ構成、音楽、特有のアクション、謎解きなど、その作品らしいエッセンスが詰められていて、単なる真似でなく、そのゲームの面白さを噛み砕いて濃縮したようなステージになっています。

ASTRO BOT

遊んだことがあるタイトルは再現度に感嘆したり懐かしめましたし、遊んだことがないタイトルには興味も湧きました。この5ステージはどれも楽しかったです。

手抜きのないグラフィック

ボットたちは三頭身くらいで可愛らしいですし、ステージの絵作りも明るくポップですが、革、布、金属、ゴムなど物体の質感は「本物」と言える出来で、非常にリアルです。ゲームを開始して直ぐ、大写しされたアストロを見たときは、目の前に「アストロのボディがある」としか思えませんでした。

ASTRO BOT

この美しさに、推定60fpsの滑らかな動きと前述のハプティックフィードバックが加わることで、アストロボットの世界への没入感を高めていたと思います。

ステージごとにBOOPEEたち雑魚敵がお色直しして、その光景に馴染む姿になるのも良かったです。どのステージの雑魚が可愛いかの比較記事も書けそうです。

極限まで省略されたアクション

使うボタンは少なく、基本はジャンプとアクション(攻撃、掴む)の2ボタンを押すか長押しするだけ。ガジェット装備中の特殊操作はL2/R2と決まっているので、悩むことなく操作できます。
操作が簡単だということは、ゲーム中でできることも少なくなりそうですが、本作はステージごとのギミックやガジェットによって飽きさせない作りになっていました。スポンジアストロなんて、1ステージ限定の能力なのに記憶に残るくらいインパクトがありました。

ASTRO BOT

強いてアクション数が少ないことの問題点を挙げるとすれば、仲間相手でも、常に殴ってコミュニケーションを取るしかない点ですね。その暴力性に笑ったりもしたけれど、動物のボットに対しては、撫でるアクションがあっても良かったと思います。

メインステージは比較的簡単な作りですが、「◯◯の試練」などのチャレンジステージは少し歯応えがある作りになっています。途中何度か試練の難しさに驚きました。

ASTRO BOT

しかし、ワールドごとに順番にこなせば段々上達していく、上手い難易度曲線になっていました。リトライ速度も程良く、アストロが落下したり爆散したり押し潰されたりしてから復活するまで、一息ついて気持ちを切り替えられるくらいの僅かな間が作られていて、失敗しても引き摺ることなく次のトライができました。
ただ、ここで挫折してしまう人の気持ちも分かるので、最後の試練くらいはリトライポイントがあっても良かったかな。クリアした後はリトライポイントがなくても妥当な距離だと感じるのですが、それはクリアした人間ゆえの感想だとも思います。

次回作やDLCで望む改善点

高メタスコアに心から納得させられる作品でしたが、もちろん完璧なゲームではありません。
完成度が高いからこそ、他のゲームだったら気にしない細かな瑕疵が気になりました。

使用するガジェットに偏りがある

ASTRO BOT

ブルドッグは多数のステージに登場する上、ただ直進するだけなので少し飽きました。この印象には、類似ガジェットであるニワトリの存在も影響していると思います。
逆にネズミやスポンジはあんなに楽しいのに、1ステージ使い捨てで勿体無いと思ったくらいです。サルも、今作はあまり出番がなかったです。

一部ステージが説明不足

ステージ構成はほとんど文句ないのですが、カクレオン宙域の「はるばるバルーン」で隠しゴールを起動するところだけ、ヒントもなく大変苦戦しました。

ASTRO BOT

探索難易度はどれだけ高くされても、ステージ再挑戦時のお助け鳥がいるから問題ないですが、これは場所が分かってもどうにもなりません。偶然二段ジャンプして解法に気付けても、納得度が薄かったです。
更にこの隠しゴールから行ける「潜入!カラクリ城」でも、手裏剣で足場を作るギミックは、9箇所に手裏剣を当てる仕掛けだと誤認しやすく、気になりました。

ボリュームを補うリプレイ性が欲しい

純粋なアクションゲームなので、ボリュームとしてはいまのままで十分だと思うのですが、ストーリークリアして収集要素も済ませてしまうと、やることがなくなってしまったのも寂しいです。

ASTRO BOT

終盤のステージでは、ゴールに来ると寂しくなっちゃいました。
これに関してはDLCで補完されそうなので、楽しみに待ちたいと思います。

細かいことが目につくのは、文句のつけようがない最高の作品に進化して欲しいという気持ちゆえで、仮に減点方式で点数を付けても90点は硬いゲームであることは言及しておきます。

最後に

購入前は正直、前作「ASTRO's PLAYROOM」のボリュームアップ版だろうから、面白さは確約されているけれど、発売日に定価で買うほどのゲームではなさそうだと思っていました。
でも実際に遊んでみたら、深いゲーム愛と遊びへのこだわりに浸りつつ、気持ち良く楽しませてもらえて、大満足でした。

ASTRO BOT

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