TRPG風アドベンチャー「シチズン・スリーパー」Switch版をプレイ開始。

シチズン・スリーパー

現在地:操縦士・31サイクル

サイバーパンクな世界で、人の記憶を機械の中に複製した擬似生命体(スリーパー)である主人公が、所有者である企業から脱走し、辺境の宇宙ステーションで生き延びようとするゲーム。

シチズン・スリーパー

もっとゲームオーバーに直行する選択肢があるものと予想していたので、一度エンディングに到達してから感想を書くつもりでしたが、意外と一周が長いようなので途中でまとめています。

SFは私の不得意ジャンルですし、実はゲームジャンル自体を勘違いしていたので、プレイ開始直後は失敗したと思いました。
しかしゲームを進めていくと、多くのキャラクターとのエピソードが並行で進行し、少しずつ世界を知っていける「短編集」のような構造に惹き込まれました。

シチズン・スリーパー

どことなく、個人的に好きだったPSゲーム「猫侍」を思い出す味わいがあると思うのですが、同意してもらおうにも、両作を遊んでいるプレイヤーを見つけることが困難なのが悔しいです。

まず本作の特色は、辺境で日々の糧を得てなんとか生き延びようと言うサバイバル生活のリアル感だと思います。

シチズン・スリーパー

最初は、主人公もプレイヤーも物語の舞台である宇宙ステーション「アーリンの瞳」がどんなところか何も分からないところから始まりますが、金を稼ぎ、日々のエネルギーとして食事をして、計画劣化で崩れていく体を維持するため安定剤を求め、企業の追手から逃れる、という生き延びるためのタスクをこなす内に、自分なりにこの宇宙ステーションがどんなところか、どんな社会が構成されているのか見えてくるようになります。

シチズン・スリーパー

一方、大目標としては宇宙ステーションからの脱出も考えないといけないようで、入植船に乗る権利を得ようするなど、様々なイベント(ドライブ)を進めて人と関わることになります。
アナーキーな社会なので、ヒトとしての権利を持たない「非人間」である主人公は、基本的に騙されたり利用されたりで搾取される側に置かれています。でも、なんだかんだ人との繋がりに優しさを感じる瞬間があって、それがこの作品の魅力だと思いました。
例えば、最初の職場をドラゴスに追い出されたけれど、そもそも主人公に住むところと働く場所をくれたのが彼女だから、充分良くしてくれたと思ったし、主人公の生殺与奪の権を握って偉そうにしていたイーサンが、立場を失ってもまだ主人公を利用しようと持ち掛けてくる下りなんて、絶対また手のひらを返すに違いないと分かっているのに可哀想で助けたくなりました。

シチズン・スリーパー

主人公を含む誰もが、泥を啜りながらいまを必死に生きている人々だから、どこか憎めないものを感じるのかもしれません。

タスクを進めても失敗になってしまうドライブがあったりして、前に進んでいるのかどうかも分からない時が多いのですが、社会的後ろ盾を何も持たない底辺の非人間のもがきを描いていると思えば、それも許容できます。
これは良質なテキストの味も加味しての印象なので、膨大なテキストの翻訳を担当された方を素直に賞賛したいと思います。

それから、本作ではダイスでアクションの成功/失敗が左右されますが、このダイス処理がかなり独特です。

シチズン・スリーパー

ダイス数や出目は、前夜の主人公のコンディションによって変化。「状態」が良ければダイスの数は増えるようです。ついでに「活力」が高い方が出目が大きい気もしています。
サイクル(1日)が始まると、すでに出目が確定したアクションダイスが配付されるので、今日はあれをやろうと思っていたけれど、大きな出目のダイスが手に入ったから困難なタスクの方を進めるぞ!みたいな感じで、何の行動を取るかダイスから逆算していく形になるのが新鮮です。

シチズン・スリーパー

状態の悪化は単純に取れるアクションが減るからマイナス要素だけれど、活力はそうでもないのがゲーム的に面白い調整。単純な成功率としては5や6といった大きな目の方が強い設定ですが、1や2など特定の目を要求するイベントもあるので、小さい目も無駄になりません。
また、行うアクションが主人公の得意分野なら出目をプラス1、苦手分野ならマイナス1となりますが、将来的にはスキルツリーで補えるようなのでダイス判定自体は優しめだと思います。

なお、ダイスがなくても辺りを彷徨くことはできるためか、ADVパートで戦闘や駆け引きが起きてもダイスロールが要求されず会話選択だけなのは、この手のゲームでは珍しいと思いました。

シチズン・スリーパー

全体的には、上質な大人向けのゲームという感じの味わいがある作品。
まだ周回を終えていないし、ストーリーは半分理解できてるかどうかという状態なので評価し難いけれど、非常に興味深い面白さのあるゲームであることは間違いないです。

大きな不満はないですが、読んで進めるゲームなだけに、Switchの携帯モードでは文字が小さくて少し遊び難い点が残念です。

シチズン・スリーパー

あとは、主人公は3キャラクターから選択制ですが、ストーリーに変化はなく、得意分野と苦手分野が異なるだけの模様。それで充分だと思うけれど、各主人公の設定上の性能によって作中でできる行動が少し変化したりすると、周回に変化があってより良いかもしれませんね。

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