アイドルマスター SideM TRANSCENDENT T@LESシリーズストーリー#01~05の感想。
以下、無償・有償部ともにネタバレありです。

本シリーズは、「世界中で愛される物語を題材に選抜メンバーが舞台劇をする」という設定で、8月から毎月更新されている、アイドルマスターSideMの連作ストーリー。
※TRANSCENDENT T@LES本編は、部分的なキャプチャ、感想のシェアを目的とした投稿・共有が許可されています。
1作目は、ごく普通に担当アイドルの出演するコミュとして楽しんでいたのですが、思わぬオチに意表を突かれ、2作目で沼に沈み、いま一番真剣に結末を知りたくて追い続けている物語に変わりました。
私はゲームジャンルの人間なので、連載漫画などにハマった経験がないのですが、毎月更新されて新しい情報を受け取るというスピード感が、連載にハマる楽しさを増すのだなと学びました。
この評価を作り上げたのは、2作目の功績だと思います。

1作目の公開と共に、次回予告で「浦島太郎」と言いつつ尖ったビジュアルを公開して混乱と議論を巻き起こし、公開直前のチラ見せで「クトゥルフ神話」と「海底二万マイル」が加わっていることを開示し、そしてあの完成度が高いストーリーを出し、オズは役替わりで今後も登場すると気付かせた上で3作目の情報を開示ーーという流れが完璧でした。
そうしてシリーズとして興味を惹いた上で、舞台単体でも物語として面白くできているのが良いですよね。宇井成久先生は天才だぜ!(舞台界では演出家が脚本・脚色もすることが多いので、私は台本を書いているのも宇井先生と認識しています)
以下、作品ごとの感想を軽く残しておきます。
01 アイドル・イン・ワンダーランド
本作に担当の天ヶ瀬冬馬がいなかったら、公開後直ぐに視聴しなかった可能性もあるので、冬馬がいてくれて良かったと思います。舞台では主演としても大活躍していて嬉しかったです。
また、この連作の通し役であるオズを、漣が最初に演じたというのも全体のフックとして効いていると思います。最初は単純に漣の当て書きだと思ったオズの人物像が、恭二や雨彦が漣っぽさを残しつつ演じることで、以降のオズの言動の奥にも漣の幼気が見えて憎めない感が増しています。

最初は地味な役だと思っていた英雄演じる白ウサギが、ハートの王様のことを大好きなのでは?と気付いてからすごく刺さりました。
02 追憶、海に融けて
総合的に無茶苦茶面白かったです。4人の座組が非常によかったと思います。
日常パートは、クリスの情熱と知的さがどちらも発揮されていて嬉しかったです。また、秀が以前のコミュで海への誘いを断ったことを気にしていたこと、そしてそれを挽回する機会を得られたことも良かったです。
舞台ストーリーは、原作要素が一番薄く、まさに「浦島クトゥルフ二万マイル太郎」と言う俗称がピッタリの内容。

宇井先生が本作のテーマを「友情」と語ったことに、最初は「え?」と思ったけれど、最終的に頷かされました。発端は竜王と浦島の友情だけれど、2人だけなら閉じた世界で詰んでいたところに、オズとネモという闖入者が現れたから希望が残ったわけで、4人の友情物語だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。だから、竜王も大量の宝をオズに譲渡したんだろうと思っています。
03 開け、挑戦の扉
インテリ4人なら雪国が舞台の物語かと思ったら、熱い砂漠の物語で、イメージカラーとの真逆さ具合に笑いました。

とはいえインテリチームなのは間違いなく、雨彦がたまに桜庭を揶揄う以外は話し合いがスムーズで、最終的に人形劇と幼稚園の仕事が結び付く流れなど、4人が有機的に働いていることに感心しました。
この回から、劇中劇の話数が長くなって読み応えが更にアップし、一本の物語として一層深くなりました。
パスワードエラーで洞窟に閉じ込められる下りは、正直爆笑しました。優位に立つと調子に乗ってしまうオズが小物過ぎて、イキイキ演じている雨彦の姿込みで面白かったです。
04 目指せ、日本一の『桃太郎』!
だいぶ腕白な桃太郎でしたが、元女性アイドルとして知られる涼にこんな乱暴者の男の役を当てたり、いつもの麗とは全く違う悪戯っ子を当てたり、配役が結構冒険していた印象で面白かったです。

それ以外では、これまでの3作に比べると結構素直なストーリー構成で、純粋に1本の舞台作品として成立していたので見やすかったです。
アリババ世界から引き継いだ三体の壺人形が、そのまま犬・猿・雉になるのかと思いきや、思ったよりあっさり壊されたところは拍子抜けでしたが、鬼も桃太郎も、居場所のなかった者たちが相互理解してお互いを認めるハートフルな展開で、優しい気持ちになれました。
05 出来る事を全力で!
浦島太郎で動画化、アリババで人形劇に進化してしまった紙芝居が基本に戻って少し安心しました。みんながアイデア合戦を続けてしまうと、どこかで破綻しますからね。
日常パート・舞台パートを通して、「適材適所」がテーマだったとよく伝わるコミュでした。
類演じるレオンガくんが、頭を抱えちゃうくらい萌えキャラでした。舞田類って凄い役者ですね。

「ライオンとネズミ」はあまりに短い話なので、いくらでも改変できると思っていましたが、実際に視聴したら原作要素は割と素直にそのままなぞる形で、オズを起点とするTRANSCENDENT T@LESシリーズ全体のターニングポイントを描く部分が大きかったと感じました。
折り返しを前に、これまでの流れが断ち切られたので、次回作がどんな話になるか全く読めず、非常に楽しみです。