• 2015年登録記事

三崎亜記著「となり町戦争」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
広報紙でとなり町との戦争開始が知らされた。平穏な町の様子に反し、戦死者は増えていく。現実感が持てないまま僕も偵察業務任命を受け、偽装結婚してとなり町へ潜入する。スパイ映画のようなスリルがありつつも、ほとんど変わらない日常が過ぎ、やがて戦争は終わった。戦後、身近な存在が密かに失われていたことを知り、僕は戦争の微かな実感を得る。

読み終わって「なんだこりゃ」と仰け反った作品。
あらすじのまとめ方も悩みました。

最初は「戦争」がまったく描写されないため、なにか別の事象に「戦争」という言葉を当てているだけかと思っていました。しかし査察の夜のシーンで、死体が焼却されるところを目の当たりにするので、実際に人間同士が武器を持って殺し合う行為が行われているのです。
書き下ろしの「別章」は、舞坂町ともとなり町とも関係していない、業務委託を請けた第三者の視点だから、戦争を感じ取れなくても納得できるし、それゆえ実は自分が関わっていたことに衝撃を受けるという筋も分かりやすかったです。
逆に言えば、本編は偵察として戦争に関与している本人なのに、一切戦争を実感できないというところに落ち着かない感じがあったし、そもそもなぜ戦争をするのか、という目的が描かれないので、腑に落ちないものを抱えたまま読み続けることになったので、私はスッキリしませんでした。
テーマは独特だし、役所が「戦争」を「公共事業」として淡々と遂行していくという設定は面白かったのですが、もう少し物語自体に面白味がないと、楽しめないかな。

ちなみに、恋愛面のオチである香坂さんの結婚が、戦争となんの関係性があるのか分からないので、恋愛小説として読むにも物足りないと思いました。

クロスオーバーSRPG「PROJECT X ZONE」と続編「PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD」の体験版を遊んでみました。

PROJECT X ZONE

http://pxz.channel.or.jp
体験版はver.Aとver.Bがありますが、登場するキャラクターとマップが違うだけで、基本的には戦闘システムの体験に特化した体験版となっています。
ver.Aはマップボスとの会話など、多少キャラクター同士のやりとりもありましたが、ver.Bはほとんど会話がなく、シナリオ面の感覚は分かりませんでした。

戦闘は、意外と難易度が高いと思いました。
最初に遊んだver.Aでは、敵の猛攻に対して回復スキルを使い過ぎ、その結果、必殺技が打てない地味な戦闘になってしまいました。ver.Bでは、XPの管理と、サポートし合える位置関係が重要だと分かったので、割と余裕を持って戦い、必殺技も一通り確認できましたが、ペアユニット制のせいか、「ナムコクロスカプコン」に比べると1アクションの尺が長いので、早く飽きそうだと思いました。

PROJECT X ZONE 2

http://pxz2.bn-ent.net
プロローグ1〜3を遊べる一般的な形式の体験版。別々の世界が交差し、仲間が増えていく超クロスオーバーストーリー展開や、掛け合いが楽しめます。
成歩道@逆転裁判、平八@鉄拳、真島@龍が如くで会話してるところとか、絵面と妙なマッチング感だけで笑えます。
なお、なぜか「体験版を周回するほど、製品版に引き継いだ時に良いアイテムが貰える」という仕様なので、なんとなく2周してしまいました。周回によって敵が強くなるということでしたが、差は感じなかったです。直前に1の体験版を遊んでいたせいか、敵が弱過ぎてビックリしました。

個人的には、主人公が森羅組であることや、音楽などの面で、2の方が「ナムコクロスカプコン」の続編という感を強く感じました。
ただ、全体的に登場キャラクターが最近の作品ということと、セガが加わった分、「ナムコクロスカプコン」に比べると知らないキャラクターが多く、若干壁を感じます。鉄拳ですら、最近の展開を知らないので、平八が若くなっていることに驚いたくらいです。
実際に遊んでみれば、知らない作品のキャラクターでも愛着が沸いて、原作ゲームに興味を持てるかもしれませんが、クロスオーバー物という時点で、まず原作を知っているか否かで購入意欲に差が出るのは仕方ないかなと思います。

今日書く予定だった話が一気に吹き飛びました。

宝塚雪組「るろうに剣心」ポスター公開!
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2016/rurouni/

るろうに剣心

なかなか先行写真が公開されないと不思議がっていたところ、いきなりポスター公開となりました。
トップコンビのみの先行写真で判断されるのを避け、インパクトのある大人数ポスターで話題を作る戦略だったのですね。宝塚歌劇団にしては珍しく、マーケットを考えて動いている気がします。

制作発表会の様子に関しては、歌劇団公式にはまだアップされておらず、コミックナタリーが一番詳しい模様。
http://natalie.mu/comic/news/163454

私は、原作漫画を序盤(京都編の途中)しか読んでいないため、配役や脚本の予想はしていなかったのですが、それでも色々と驚かされる配役でした。
まず驚いたのは、鳳翔大の左之助役。イメージが違うという以上に、最初期からいるメインキャラクターが当たるとは思いませんでした。この学年になって、大劇場ポスターに初登場というのもなかなかないことですよね。
ちなみに、弥彦が主な配役に入っていないのは、娘役が配役されるからだと思います。
そして、もう一つの驚きが望海風斗の役です。
原作物にオリジナルキャラクター投入という時点で驚いたけれど、それがまさかの加納惣三郎(笑)。
……思わず(笑)を付けてしまったのは、司馬遼太郎先生のせいです。
明治になる前に死んでいたと思うのですが、そこはフィクションなので良いのでしょう。どう絡んでくるか未知数過ぎて、楽しみ半分、不安半分というところです。

2015年8月15日記事で告知した、ユアンさまサーチのサイト検索機能終了に伴う改装作業が進んでおらず、ちょっと不安だったのですが、最小限の移行をすることにして、とりあえず目処が立ちました。
予定通り移行できるはずです。
折角なので、スマートフォンへの正式対応もさせるつもりです。
まぁ、文字ばかりのページなので、何も施さなくても閲覧に影響はないと思いますが……。

なお、北米版のパルマコスタ人間牧場のセリフ集は、改装に間に合わせるのは諦めました。日本語版を読み直してみたら、かなり長いイベントでしたので、正確に書き写すため、ちゃんと別途スケジュールを立てることにします。

小山田桐子著「将棋ボーイズ」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
元苛められっ子で自分に自信がない歩は、高校入学を機に将棋部に入る。定石を覚えるのも人一番時間が掛かり、同級生にも負け続けるが、部員達の励ましで真摯に将棋に向かい続け、ありのままの自分を認められるようになる。一方、同級生で将棋の天才・倉持は、勝負に熱意を持てない悩みを抱えていたが、団体戦の経験を経て、期待に応えられないかも知れない自分を恐れていたことと、期待に応えられた時の喜びを目指して戦う楽しさを知る。

タイプの違う男子生徒たちの友情や衝突は、ネタが将棋故に淡々としつつも、青春小説らしく爽やかでした。

作中、将棋について

将棋は相手を打ち負かして勝ち誇るものじゃないんだよ。負けを知るゲームだ。

と説明している点は、色々な意味で感心しました。

ただ、主人公が2人いるのに、その2人が終盤まであまり関係せず3年間を描くので、エピソードが少々中途半端だと思いました。
実は2人とも自分に自信が持てない似た者同士だった、という現在の終わり自体は良かったのですが、歩に関しては気が付いたら強くなって自信も持っていたという感じで、ちょっと残念。段位獲得戦にいつの間にか挑戦して、三段になっているというのも、読者としては置いてけぼりにされた感があります。
倉持の成長に関しては、分かりやすい転機が設定されているなと思ったので、倉持を単独主人公に、現在と同じボリュームで書かれていれば、もっと面白かったのでは。
そうすれば、途中でフェードアウトしてしまう上に、誰にも大きな影響を及ぼさない春久等のキャラクターを整理できたのでは。歩の家族話も、ちょっと消化不良でした。