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盆に観劇しているので、整え直された鬘のパターンで観劇している筈ですが、初日(舞台稽古含む)の髪の毛がボワッとしている茨木の写真を見慣れた後だと、不思議なほどDVD茨木が小綺麗に感じられて、面白いなぁと思います。

イラストは、己の中の鬼性に目覚めた瞬間の茨木。
「萱野が逃げたぞ!」と告げ口した茨木が、嗤っているように見えて、とても哀しい。
取り急ぎのラフですが、思ったより茨木って描き易いかもしれません。

大空祐飛のコスプレ物は、三次元の住人なのに、なぜか二次元風の髪型になるのが面白いなぁと思います。
そして、見事な三白眼に惚れ惚れします。

無事帰ってきました。
博多座は劇場の中に、屋台のような感じで土産やお弁当のお店が軒を連ねていて面白い劇場ですね。傾斜も適度で、少し椅子が堅めなのか腰が痛くなった以外は、良い劇場だなと思いました。

14日16:30公演と、15日12:00公演を観劇。それぞれ、1階でオペラ未使用原作未読、2階でオペラ使用原作既読と、自主的に視点を変えてみました。
総じて、15日の方が良かったかな、と思います。客層も、15日は遠征ファンが多かったのではと思う拍手の熱さでした。会場中が暖かく、なぜか私が感激しました(笑)。

まず、芝居「大江山花伝」。

幕開きに茨木@大空だけが板付きで立っていて、まず後ろ向き→振り向くが、顔を扇で隠している→顔を見せる、と2段階焦らされた分、万雷の拍手でした。
鬘は作り込んでいるし、衣装も豊富に取り替えてくれて、ビジュアル的には非常に満足しました。本当に「この世の物ではない」美しさだったと思うファンの欲目です。
女装シーンで、お付きの二人は「女の子の声」を出しているのに、茨木は明らかに「男がシナを作って女性らしく話してる声」で笑いました。これも男役スキルの差なのか?
藤子@野々は、独白シーンの熱演だけで客の心を捉えていたと思います。初日は平気だったのに、二日目は話し出した途端滂沱の涙で、オペラを支えていられない状態になりました。たった一人、振り付けもなく長台詞を言うだけで劇場を埋めるその芝居心は流石の一言。
所作は、日舞の為に三味線までやる本格派の綱@北翔がとても美しく、目を奪われました。何が凄いって、持ってる扇や剣と言った小道具が、位置を決めるとピクリとも動かないんですよね。
胡蝶@花影は、佇まいが美しくて驚きました。洋物で、妹系キャラのイメージがありましたが、こういう大人の役の方が似合っているのかも。
千年杉@萬は予想していたより出番も少ないし、物語上の比重も軽く、勿体ない役者の使い方だと思いました。

お話自体は、ちょっと展開が早過ぎることと、茨木と綱の間に友情を感じさせるエピソードがもう少し織り込まないと二人の思いが伝わらない印象がありましたが、その辺を理解している15日は、スムーズに入り込めました。
酒呑童子の処理が、原作と舞台で大きく違いましたが、私は原作に背いていても舞台の方が好きかな。人間であろうとした茨木なら、ああいう形の方がしっくりします。

滝壺をどうやって舞台上に作るのか?と思っていたら凄いスモークで恐れ入りました。
あと、演出関係は茨木が綱に名乗って退場する序盤シーンで、回り盆とせり下がりの組み合わせは良かったです。
ただ、他の点は……ライトの使い方など一本調子で、古い印象を拭えませんでした。
平安時代の日本物なのに、意外と音楽がエレキ系を使っていたり、攻撃的で驚きました。初見は合わないと思ったのですが、そういうものだと思ったらよく合ってるような印象に変わったので、まぁ鬼と人間の差を出す為にも良かったのでは。

他に気になった事。
酒呑童子@十輝は、元々鼻声なのか、たまたま風邪気味だったのか、台詞の合間に鼻を啜るような間と音があって、少し気になりました。
それと、舞台転換の時に大音がするのが、かなり気になりました。慣れない劇場で大劇場並のセットを動かすのは難しいのでしょうけれど、少し興醒めです。

続いて、ショー「Apasionado!! II」。

とにかく熱く熱く最高の盛り上がりでした!
少人数なのを感じさせないように総出で頑張っていて、凄まじい体力勝負になってる感がありましたが、それも発される熱の要因の一つになっていたのではないでしょうか。
再演の弊害で「瀬奈ならここで魅せるのだろうな」と思ってしまう面もありましたが、宙組は宙組で、自分たちらしくやっているのでは。
男役の黒燕尾ダンスは、三角形フォーメーションの頂点にいること自体に大感激です。でも、一番大空に合っていたのは、やはり新振り付けの荒野だと思いました。
新振り付けと言えば、14日はデュエットダンスのリフトがかなり怪しくて(野々は腰が引き気味だし、大空は抱え上げたは良いものの回転で軸がブレる)、「リフト大好き」「大空ファン」「野々好き」な自分でも、その3つが組み合わさった結果を喜ぶかと言えば、そうでもないんだと分かりました。

バンピロ伯爵のシーンは、なぜか15日はバックのダンサーに注目してしまって、大変激しい振りですが、あんなに踊れたら気持ちいいだろうなぁと思いました。
女装シーンは、組長が完全に笑いを取りに行っていて、素晴らしい戦闘意欲でした。
なんせ宙組なので、あんなに月組・花組時代は長身がウリだった大空が小さく見えるくらいの長身揃いで、花は花でも食虫花に違いあるまい、と思いました。
花影は、華があるけれど、二階席から観ると細すぎて折れてしまいそうだったので、ちょと肉を付けて欲しいですね。

最後に、宙組全般の事。
コーラスはさすが宙組。また、影ソロが凄く迫力ありました。
青年館「逆転裁判」しか観ていないので、今回初見のメンバーが多く、なかなか脳内で巧く照らし合わせられないのですが、芝居で茨木の部下を演じてくれていたので、下級生ですが蒼羽りくと星吹彩翔は見分けられるようになりました。
元々、ハンディおとめで蒼羽りくは学年の割に男役の顔が作れているなぁと思ってチェックしていたのと、星吹彩翔はとにかく個性的なので、まぁ次回も多分この二人は見分けられるでしょう。
中堅では、逆転裁判で矢張を演じていた鳳翔大が、「凰稀かなめに似ている」と思って以来、直ぐ分かるようになりました。ダンスや歌など向上すれば、美しさで十分やっていけるのでないかと思います……って、不思議と凰稀に言ってるのと同じ感想ですね。顔が似てる人は、芸風も似るのか?

一人なので色々不安もありましたが、遠征して良かったです。細々書き出すと終わらないので、この辺で一旦筆を止めます。
DVDも買って、「カサブランカ」までに宙組生を研究するぞ!

小学館文庫・木原敏江作「大江山花伝」を購入しました。

先日までAmazonでは「出品者から購入」の選択肢のみ、他のネットショップでは「注文出来ません」だったのですが、最近になって改めてみたところ、「出版社から取り寄せ」状態になっているではありませんか。
お盆の博多行までに間に合えば、と願いつつ注文したところ、無事手元に届きました。
すると驚いたことに、オビに「宝塚歌劇話題のミュージカル大ヒット原作コミック」と記されているのです。
慌てて本編を読まないように注意しながら奥付を確かめると、2009年7月29日第9刷。宙組公演に併せて再販したのでしょうね。
実際問題、宝塚ファンって予習復習が勤勉で、感心します。まぁかく言う私もすっかりそれに感化されて、フィッツジェラルド作品を読んだり、今回漫画文庫を買ったりしたわけですが……。

で、読みたい、いや観劇一日目まで待とう、いや待てない、と交互に囁く私の中の誘惑と自制があまり煩いので、収録作から「夢幻花伝」だけ読みました。
「大江山花伝」は原作未読の状態と、既読の状態で舞台を観る機会の二通り楽しみたいのでじっと我慢。「花伝ツァ」と「鬼の泉」は関連作らしいので、念のため保留と言うことでのチョイスです。
で、その「夢幻花伝」は、観阿弥・世阿弥の話なんですね。もうすっかり記憶の薄い南北朝時代の歴史を、こんな時代だったのかと思いながら読了。実在の人物としての世阿弥はあまり良く知りませんが、今作からは、足利義満の庇護は受けても、権力者を讃えたり媚びるような能を作らないあたりに芸人としての高い志を感じます。
初めて触れた「ドジさま」こと木原敏江先生の絵は、目が大きくて少女漫画の世界ですね。
正に星が浮かんだ瞳!と驚嘆。でもそれが滑稽じゃなくて、真っ直ぐな美しい瞳だなぁと感じたのでした。