銀英伝再読の旅が、異動のごたごたにより9巻半ばで止まっていたのですが、本編は一時置いて、創元SF文庫版「銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮」を買いました。
ちなみに、麻生が持っている本編は徳間文庫全10巻です。
徳間ノベルズを新品で入手することが困難だったため、高校時代に文庫を発見して以来、毎月一冊ペースで頑張って買い揃えました。が、徳間文庫では外伝が1巻しか販売されていないため、これは購入せず見送りました。デュエル文庫が出た際は、「ファイナルバージョン」と銘打たれていた事もあり、そちらで本編+外伝を全揃えしようかと思ったのですが、挿絵の存在や分冊化による一冊の薄さが引っ掛かり、足踏み(ユリアンのイゼルローン日記だけ読み直しの為にデュエル文庫で購入しましたが、現在は既に手放しています)。
やがて、改めて創元SF文庫でリリースされる事になった2007年、このシリーズで今度こそ外伝を揃えようと決意……したものの、なかなか外伝刊行に至らず、すっかり存在を忘れていました。
会社帰りに久し振りに本屋に寄ったところ、偶然棚差しの本書を発見し、そういえば、と購入した次第です。
前振りが長くなりましたが、約十年ぶりに読む久し振りの外伝、面白かったです。
確か初読の時は、外伝シリーズは巻が進むごとに退屈だと感じた印象があるのですが、今の年齢になって読み直すと、逆にダレる事なく頁を捲って、直ぐ読み切ってしまいました。
このことについて個人的な見解ですが、外伝は本編より歴史小説的になっているのでは、と思いました。
メインの筋が過去の出来事を読み解くと言う歴史談義である上、この小説自体が本編より過去の出来事であることから、主人公や周囲の後日本編に登場する人々が、作中で失脚したり死亡するような事は絶対ないと分かっていて読みますので、大いに緊迫し盛り上がる事件は起こりません。結果、淡々としている=本編よりつまらない、と言う印象を受けたのでは。でも、田中氏らしい文章と構成を楽しむと言う面白みは、何ら変わらないものであることが、今は分かったのだろうと思います。
思えば、再読の時楽しく読んだ1巻1章も、初読の時はしっかり読み飛ばしました。
勿論、ヤン+アッテンボロー&キャゼルヌ先輩と言う構成が、私の一番大好きな同盟軍メンバーだと言う、単純な好みの問題もあるでしょうけれど、年を取って面白さが分かったと言う点は事実なので、上記のような事ではないかなぁと思います。
尚、解説の石持浅海氏と言う方は、私は推理小説を一切読まないのでまったく知らない方だったのですが、私が以前から悶々と思っていたところを巧く表現してくださってる解説で、これも一読の価値有りでした。