久住昌之、谷口ジロー作「孤独のグルメ」(扶桑社文庫)

冴えない中年がひたすら食事をする漫画、と聞いて「BARレモン・ハート」みたいな蘊蓄漫画を想像したのですが、読んでみると本当に毎話定食屋で食事をするだけの漫画でした。

独特の雰囲気で淡々と話が進んでいきます。主人公・井之頭五郎の「心の声」のお喋りは、偶に哲学的な側面もありつつ、ダンディズムを感じたり、妙なリズム感に軽く笑わされたりと言う感じ。横暴な店主に物言う12話(板橋区大山町)は、そこだけキャラが変わった印象で不満でした。
作画は非常に緻密で、よほど綿密に取材したのか写真を元にしているのか分かりませんが、あの街角ね、と頷ける風景描写と、注釈が沢山付いた食事のコマが凄いです。

面白いか、と言われると盛り上がりもなにもないので評価し難いです。突き詰めると内容はシュールだし、読んでる方もシュールな気がします。
文庫版巻末に付けられた原作者の「あとがきにかえて」は素直に面白かったです。

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