宝塚宙組中日劇場公演「仮面のロマネスク/Apasionado!! II」2/18 16時30分回、2/19 11時回を観劇。
2日連続で見て、遠征後に本稿を書いているため、1回目と2回目の感想をまとめることにします。また、プログラム未購入のため、記憶に頼っております。DVD発売後に詳しい感想を書きたいですね。

初めての中日劇場。
劇場のある中日ビルは古い構造ですが、入口前に待合所があることや、適切な手洗いの数と空室が分かる看板方式、豊富な売店など、博多座に通じるものがあって良い地方劇場だと思います。また、場内はステージに対して客席が比較的コンパクトで、端席でも見切れることが余りないようです。反面、音響は少し弱い気がしました。

で、肝心の舞台感想です。
まず、ミュージカル「仮面のロマネスク」。
原作が発禁本というだけあって、大幅に宝塚ナイズされても尚、耽美で退廃で妖艶の世界でした。
役が多いため下級生までフル稼働で、転換も多く、初見だと話を追うのに少し疲れましたし、多少話が飛んでいるような箇所も感じましたが、全体の展開が分かっている2回目は非常にのめり込めました。
最後は、メルトゥイユ公爵夫人の台詞「楽しかったわ」に気付けば涙が流れていました。ラストシーンで、1時間30分のドラマのすべてが昇華される感じがします。

ざっとしたキャスト感想は下記の通り。全体的に、隙のない配役でどのキャストも適役でした。
ヴァルモン@大空祐飛は、クールな放蕩児に見えて実は熱い血が流れているキャラクターでした。行動は酷いのですが、仮面と本当の自分が分からなくなっているような頼りなさもあり、許してしまいます。あんなに迫られたら、堕ちるわ。
メルトゥイユ公爵夫人@野々すみ花は、正直言って「貴婦人」「高嶺の花」という柄ではないのですが、演技で捩じ伏せた感。能面だけれど、瞳に情念があり、視線の動かし方で秘かな心の内が伝わって来ました。
豪奢なドレスが次々登場するのも楽しいところ。白ブラウスと朱色のスカートの衣装が少し女学生調で好きです。
ダンスニー男爵@北翔海莉は、ある意味いつもの北翔海莉。コメディリリーフとしてガンガン客席を笑わせていました。音響の悪さをまったく苦としない歌声に酔いしれました。
トゥールベル夫人@藤咲えり、最初は「あんな人」と言われるように地味な印象だけれど、ヴァルモンが迫る度に花が綻び、色気が出てくるのが素晴らしかったです。今公演で一番の功労者だと思います。
セシル@すみれ乃麗は、歌が大幅改善されて声量がついたので驚きました。
ジェルクール伯爵@悠未ひろの発言は、女性の視点で非常にムッとさせられて、役としては正しい感じ。
ロベール@十輝いりすは執事姿も麗しく、優しく有能な美味しい役。公爵邸を去る女中が言う「ロベールさんもお元気で」の台詞に、異動する十輝を配役している妙がありました。
ただ、プロローグで「登場人物の紹介をロベールから」とダンスニーから言われているのに、一切紹介していないですよね(笑)。
アゾラン@凪七瑠海は、等身大の役で似合っていました。ちょっと蓮っ葉だけれど、主人の事が好きなのも可愛かったです。
ベルロッシュ@鳳翔大の美貌を生かした役。台詞は非常に少ないのですが、メルトゥイユ公爵夫人への視線がすべてを語っていました。

ショー「Apasionado!! II」。
再演にあたって、新規参加役者にあわせた場面追加や変更がありましたが、基本路線は博多座版「Apasionado!! II」の通り。
歌で何人か苦言を呈したい人はいましたが、プロローグからフィナーレまで、とにかく最高の盛り上がりでした!

「熱視線」は「ヴァレンチノ」の配役を流用して、ナターシャ@七海ひろき。ちょっとしたファンサービスで嬉しかったですが、流石に後半の歌のキーが辛そうでした。
ソファに横たわったルディが、まるで膝を抱えてる子供に見えました。博多座公演の時は、寝そべってる大人だと思いました。その姿勢は変わらないのに、あの「ヴァレンチノ」のルディがもう一度現れたようでドキっとしました。
「熱帯夜」の女装軍団、初参加組のヴィオレッタ@悠未ひろは割と想像通り、ペンサミエント@凪七瑠海は思わずオペラでずっと覗き続けた愛らしさでした。ペンサミエントは博多座では珠洲春希が担当した箇所で、そちらもゴージャス美女でしたし、秘かな美貌枠だったんですね。カーネーション@鳳翔大も改良した乱れ鬘で色っぽさを増していましたが、個人的好みではペンサミエントに一票。
チューリップ@十輝いりすの髪型は2回とも猫耳でした。
黒薔薇@寿つかさの濃厚なウィンクは名古屋でも大ウケ。
そして女装のまま総踊りで客席に降りてくれるのは最高のサービスでした。
ちなみに、18日は純矢ちとせの赤い襟が外れるハプニングがあり、片手で押さえながら踊っていました。衣装関係のハプニングは珍しいですね。

新場面関係では、中詰め後、悠未ひろが客席から登場する新場面(ジャングル)。ホットだし、悠未ひろの意外に自在な声を楽しめて面白かったです。ここは女性陣も非常に挑発的な衣装と振り付けで、ドギマギしました。
フィナーレのデュエットダンスは、新曲に変更。少し攻撃的に挑み合うような2人の世界に変わっていました。尺が長めで、たっぷり2人の「演技」としてのデュエットダンスを堪能することが出来ました。

楽しい2公演、これが本公演でも良かったくらいの濃密な舞台でした。

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