宝塚宙組東京特別公演「ロバート・キャパ―魂の記録―」15時回(千秋楽)を観劇。
中日への遠征と被ったため、この公演は見られないと思っていたのですが、千秋楽チケットが回って来たので観て来ました。
宙組の中堅以下の芝居巧者を集結させた感のある編成で、非常に手堅い作り。
好みは分かれそうですが、演出や1エピソードの長さなどもストレスなく観れて、充分佳作だと思います。
但し母親とのエピソードだけ、2回とも妙に唐突感がありました。特に1幕の「カメラマンなんて危険な仕事は辞めて」と言われるシーンは、その前に怪我をする等の前振りが必要だったのでは。
また「崩れ落ちる兵士」と「ゲルニカ」が力強い分、ラストは「これで幕切れ?」と呆気なく感じてしまうのが少し勿体なかったです。この辺は、伝記物の限界ですかね。
役は、主演コンビ以外のスターにこれと言った役がない状態で残念でした。
特にチーキ@春風弥里は勿体ない使われ方。
逆に、フェデリコ@鳳樹いちとシム@星吹彩翔は、非常に美味しい役で、観られて良かったです。
フェデリコは全力で泣かせに来る芝居だったので、心の中で「死亡フラグ立て過ぎだよ!」と突っ込みつつも泣きました。シムは、花組「舞姫」での日向燦を彷彿とさせるドジっ子眼鏡男子で、非常に可愛かったです。
アンリ@蓮水ゆうやも良かったですが、シムとコンビ扱いなので、ちょっと割を食った感。
ピカソ@風莉じん、マリー=テレーズ@愛花ちさき、ヴァンサン@蒼羽りくなどは、出番は限られていても芝居を楽しんでいるのが伝わってきました。
コーネル@桜木みなとは、少し体型が変わりましたね。「クラシコ・イタリアーノ」の時はしゅっとして格好よかったのですが……
ロバート・キャパ@凰稀かなめは、「自分」があるのかないのか、ちょっと分かり難い男。フェデリコやゲルダに言われて物事を決めてばかりで、意志が薄弱に感じました。まぁ、その辺は脚本のせいで、演技は主演として堂々としたものでした。
初ヒロインのゲルダ@伶美うららは、及第点かな、と思いました。脚本段階で既に知的で魅力ある女性なので、演りやすかったのではないでしょうか。
初めて台詞や歌を意識して聞きましたが、白羽ゆりに似てますね。良い声だと思います。高音が出ないのだけがネックですね。
フィナーレでは、男役群舞で4人口が春風、蓮水、鳳樹、蒼羽。誰を観るべきか迷って困りました。
蓮水除く「ダンサー」と称される3人が、みんな微妙に傾向の違うダンサーなので面白かったです。春風はタメて焦らして格好付ける踊り。鳳樹は、爪先の先まで力が入っていて、一番教科書通りというイメージです。蒼羽は優雅。例えるならば、1人だけ秒間60フレーム処理(笑)。そして秘かに顔で踊るところも好きです。
最後の曲に手拍子が入り、出演者個別に拍手が出来なかったのが残念でした。
ただ、カーテンコールで春風からの異動挨拶がありました。涙声になっていましたが、顔は最後まで笑顔で、10年育てられた宙組と宙組ファンから離れるのは寂しいが、花組でも頑張るという内容でした。
この時に盛大な拍手で送り出すことができて、ホッとしました。花組での活躍を祈っています。
最後に少し自分語りをしますが、私の身内にもカメラマンがいます。
仕事の報酬を受け取る為に客先へ出向く時に持ち金がなく、カメラを質に入れて電車賃を借りたという話を聞いたことがあります。そのため、冒頭のライカを質に入れるエピソードには少しニヤっとしました。