三浦綾子「塩狩峠」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
永野信夫は、信仰の為に幼い自分を置いて家を出た母の影響でキリスト教に反感を抱いていた。だが同僚の犯した罪を切っ掛けに、イエスの言葉に従って生きてみようと考える。やがて敬虔な信者となった信夫は、客車が牽引車から外れる事故に乗り合わせ、乗客を救うため身を投げ出し、客車の下敷きになった。

実話を基にした作品。
読み終わってから裏表紙を確認したら、物語の結末が書いてあったので驚きました。
三浦綾子氏の作品であるため、一言で言ってしまえば布教小説です。しかし、私としては、宗教、身分、病気など、色々な事柄による差別が描かれていると受け取りました。

青年期までの信夫がキリスト教に抱く反発心は私と同調していたのですが、そこから転じてイエスを神であると信じたわけが、私には何度読み直しても受け取れませんでした。
でも実際に信仰に目覚める時というのは、このくらい当人以外には特別な意味を持たないタイミングなのかも知れませんね。
前半で同調していた分、信夫が信仰に目覚めた後半は「いい人」になり過ぎて、私のような屁理屈屋は少し鼻白んだのですが、このような生き方をした人物が実在すると言うことは、凄いドラマだなと思います。
また、ふじ子の人間的な美しさは素晴らしいと思いました。こういう人物であれるように自らを高めたいものです。

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