青山劇場にて、ミュージカル「コーヒープリンス1号店」18時回・アフタートークショー付を歌劇。
トークショーのメンバーは、MC新納慎也、高畑充希、玉置成実、東亜優でした。

最後はハッピーエンドで後味が爽やかですし、全体としては楽しかったのですが、結局は細かい不満が積み重なり、10時間以上の原作を短縮する難しさを感じました。
一言でいえば、名場面ダイジェスト。個々のエピソードが繋がっていないため、間にあった展開を観客が想像で補う必要がありました。と言っても、序盤は丁寧な展開でした。カフェを始めてから突然エピソードがブツ切れになってしまい、主人公二人の心の動きはなんとか追えましたが、展開に唐突感がありました。
例えば、一番重要な性別バレのシーン。ハンギョルが人から裏切られることに神経質なエピソードが事前にないと、ウンチャンが性別を打ち明けることの恐れがいまいち理解できなかったし、ハンギョルの拒絶反応も過剰に感じました。
また、カフェの仕事がほとんど表現されていないので、ハンギョルが幼年期からの夢とカフェ経営の楽しさで揺れる気持ちや、ウンチャンは仕事に打ち込んでいたらしい話が言葉だけで、重みがありませんでした。そもそも、カフェ店内はいつも客がいないし、ハンギョルもウンチャンも店を放ったらかしで遊びに行ってましたよね……。

ほぼ歌えるメンバーが揃い、生バンド演奏という豪華さに反して、音響が悪いのか歌詞が聞き取り難くて辛かったです。しかも、ハングル混じりなので「今のは日本語だったのか、ハングルだったのか?」と一々考えながら聞き取る必要があり異常に疲れました。
また、1曲ずつが結構な長さで、毎回途中で飽きました。主要キャラそれぞれに曲があるのは、出演者のファンには嬉しい配慮だと思うのですが、もう少し短くして欲しかったです。
曲そのものは、槇原敬之の「恋する心達のために」が予想以上に良かったです。4人のそれぞれの声がよく伸びて気持ちよく浸れました。
他方、踊りはアンサンブル任せで、演出的にもメッセージ的にも伝わる物がなく、踊る必要がないと感じました。

原作ありきであることは分かっていますが、物語の舞台が韓国である必然性がなく、キャラ名も分かり難いので、日本を舞台にしたローカライズ作品にした方が受け入れられたのでは。そうすれば前述の歌詞の聞き取りも少し楽だったはずです。

以下、主なキャストから語りたい人だけ。
ウンチャン@高畑充希は、男装が可愛かったです。それなのに、スカート姿になると途端に衣装に着られている感が出るのが面白かったです。
ソンギ@加藤和樹は、美味しいクールポジションですが、微妙に弾けていて、少ない台詞と動きで笑わせてくれました。
ミンヨプ@鷲尾昇は、中の人の人柄の良さが滲み出ていて、役者も合わせた役の中では一番好きでした。アフタートークショーでも女子達の中で大人気だったけれど、結局誰にも指命されなかった辺りの報われない良い奴っぷりが美味しかったです。
ハンソン@新納慎也は、新納慎也の安定感と幅の広さを思い知らされました。最初のソロ曲はキーが高過ぎる気がしましたが、どんどんエンジンが掛かっていって伸び伸び遊んでいました。ウンチャンを彼女に仕立ててユジュと会う非道なところや、実はちょっと怖そうな男だったりするのは、役と関係なく新納の味ですかね。
祖母@中尾ミエが男前なお婆さんで格好よかったです。
でも、最も印象に残った出演者は(着ぐるみ)です。登場しただけで笑いがとれる美味しい奴でした。

最後に、どうしても気になったエピソードについて。
コーヒー豆の発注量を誤り店に損害を出した件は、ウンチャンに責任があると思いました。確かに間違ったのはミンヨプだけれど、ハンギョルから命じられた発注の仕事をミンヨプにやらせたのは、ウンチャン自身です。しかも、指示は別の仕事をこなしていたミンヨプに口頭で伝えただけ。成果を確認することもしませんでした。
その為、ハンギョルが「本当に悪いのは自分だ」と思う心理が理解できなかったのですが、社会人の皆さま、どう思われますか?

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