高田郁「銀二貫」

【あらすじ】
武家の少年松吉は、寒天問屋の主人に命を救われ丁稚として働くことになったが、商う寒天を美味いと思えなかった。しかし、料理人嘉平から寒天を用いた料理を教えられ、初めて寒天の良さを知る。その後大火で亡くなった嘉平と彼の愛娘に報いるため、松吉はより強い寒天を作り出すことを誓うが――

食べ物が題材で、人情モノで、よく調べられていて説得力のある描写、と「みをつくし料理帖」シリーズの作者らしい作品でした。真帆と松吉を、野江と澪に重ね合わせて読んだ読者は、私だけでないのでは。

この作品では、タイトルである「銀二貫」という大金の使い道が4通り出て来ますが、どれも素晴らしく心に染みます。特に最初に払われた銀二貫がどう使われたのか分かる終盤のシーンには、アッと驚かされました。こんなに気風良く金を工面してやれる人間になりたいものです。
非常に気持ちのよい読了感がありました。

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