森見登美彦著「夜は短し歩けよ乙女」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
後輩の乙女に一目惚れした大学生の「私」は、外堀を埋めるべく彼女を追い掛け「偶然の出逢い」を繰り返す。だが告白する勇気がないまま、私はある日風邪で寝込む。風邪の幻覚の中、私は空を舞い、竜巻に攫われた彼女を救出した。目覚めた私は、彼女とデートの約束を取り付ける。

面白いか、面白くないかと二択で迫られると悩ましい作品。
私の評価方式としては、万人に薦められないので面白くない、と答えるべきでしょうか。

非常に独特なふわふわした物語。
不思議に擬古的な文体で、読み慣れるまでは戸惑いました。判ってくるとなかなかリズム感もあって面白いのですが、読み難いという評価をされても文句は言えないと思います。
8ミリフィルムで撮っているような色合いで世界を想像しながら読むと、奇天烈な世界も巧く馴染んで面白かったです。京都の地理にある程度精通していたら、もっと入り込み易そうです。

個性豊かなキャラクター達は面白かったけれど、私は主人公の男子学生(先輩)に感情移入できませんでした。男性は、彼の煩悶具合に共感できて面白いのかしら。「不思議ちゃん」な乙女視点の方は、突き抜けていたので却って面白かったです。
ちなみに、三章で描かれる学園祭のトンデモ具合は「蓬莱学園」シリーズを彷彿とさせられ、結構好きでした。

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