三浦しをん著「舟を編む」

【あらすじ】
出版社の社員・馬締光也は、「言葉」に鋭敏すぎるため巧く話せず、変人のレッテルを貼られている。しかしその感覚を見込まれ、辞書編集部へ異動したことで、言葉への拘りを生かし、言葉を通じて人と繋がることの大切さを知っていく。

辞書談義や言葉の解釈に対する拘りが面白くて、辞書が読みたくなる小説。

辞書編纂の苦労話かと思いきや、経過期間が長いせいか、淡々と進んだ印象でした。
馬締は、仕事のことより恋愛で苦労していたように思います。そして馬締が苦労している分、その辺の下りは面白かったです。
もちろん、主題である辞書編纂においても、記載漏れの単語が見付かるという山場はありますが、椅子に座ってひたすら照会する作業というのは、やはりドラマとしてわかりやすい盛り上がりに欠けると思います。職業上、みんなが肝を冷やした感覚は多少わかるのですが、その作業自体があまり描かれていないので、大変だ、という気持ちの共有には至りませんでした。
しかし淡々とした空気感が最初から最後まであることを考えると、これは意図されたものかも知れません。

部に所属する社員を語り部として、何度か視点が入れ替わります。
私としては、西岡の視点が軽妙で面白かったです。
三浦氏の作品は「ちょっと軽め」なところが読みやすく、御本人がどちらかと言えば「ツッコミ」。そういう要素と西岡のチャラさが合っているのでは、と推測しています。

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