- 分類読書感想
有川浩著「県庁おもてなし課」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高知県庁は観光立国を目指して「おもてなし課」を創設した。観光特使から、民間感覚とズレている、と批判を受けた職員・掛水は、かつて観光の呼び水としてパンダ誘致を主張し、県庁から追われた男・清遠に助力を請う。自然と田舎感を生かした観光計画を始めたおもてなし課だったが、清遠を嫌う上層部により、清遠は企画から外されてしまう。掛水たちは清遠の残した教えを受け継ぎ、公務員としての制約と折り合いをつけながら計画を貫くことにする。
観光特使を引き受ける作家・吉門が可愛い、というキャラ萌え視点で読みました。
有川浩本人の分身のようなキャラクターですが、「図書館戦争」でキャラ萌え読みを肯定していた作者ですから、その辺は許されますよね。
お仕事小説としては、職場は会議シーンばかりで、あとは休日に遊んでいる光景が多かったかな。まぁ、掛水の立場からしたら、それも仕事の一環ですね。
公務員ならではの苦労話部分は、なるほどと思います。
ストーリー的には、「舟を編む」と同じく、恋愛関係や恩師に降りかかる不幸が山場になっていて、仕事そのものではあまり波がない感じ。
そういえば、「舟を編む」と「県庁おもてなし課」は同時期に映画化もしていましたよね。
「箇条書きマジック」という言葉も忘れてはいけませんが、全体的な印象が似ているように感じました。
冒頭のパンダ誘致論は興味深かったです。
私自身は、パンダが特別好きではないし、上野動物園に行ってもパンダを見ないで帰るくらいですが、非常に集客力のあるコンテンツであることは間違いありません。
あと、作中では観光地の要素としてトイレ事情を重視していて、これが実に嬉しかったです。10年くらい主張してきた私論が、有川先生に届いていたようです(笑)。
実際、観光地のトイレ比較は、やってみると面白いのでお勧めです。