隆慶一郎著「一夢庵風流記」

前田慶次郎(利益)の生涯を描いた歴史小説。
出来事を並べるだけでも劇的なストーリー展開で、ぐいぐい惹き付けられました。強いて言うと、序盤と朝鮮内の旅程に退屈な部分もありました。でもその辺の燻りは、慶次郎が戦地で戦うためのエネルギー充電だったのかな、とも思います。

慶次郎は文武両道、大胆にして繊細、子供のように無為なようでいて計算し尽くしているようでもあり、男の格好良さを体現しています。
そして、相棒である馬の松風が慶次郎と同じくらい格好良く、捨丸、金悟洞、骨もそれぞれ面白みのある男と、とにかく魅力あるキャラクター揃いです。
そんな多くの人物から惚れられる慶次郎ですが、彼自身が惚れ込む男は、直江兼続なんですね。
本作に登場する西軍武将の中では、序盤に少しだけ出番がある、病床に着く前の大谷吉継が最も知的で好みでした。
一方、三成は理屈倒れで嫉妬深い子供でしたが、美化されていないだけで、悪意を持って描かれてはいないので、こういう扱いも好きです。
三成に限らず、どんなキャラクターも単純な善人・悪人ではなく、良い面も悪い面も持ち合わせているところに、人間に対する作者の真摯な視点を感じさせられました。

なお、関ヶ原の戦いに関しては、上杉勢と三成の間に密約はなかった説を取っており、納得しました。

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