- 分類読書感想
三浦しをん著「神去なあなあ日常」
【あらすじ】
高校を卒業しニート予定だった勇気は、勝手に応募された「緑の雇用」制度により神去村で林業に従事することになった。1年後、成長した勇気は、自然と共に生きる神去村での季節の出来事を振り返る。
林業小説。
三浦しをんの書く主人公は、仕事に打ち込む男が多いですね。
林業従事者でなければ知ることはないだろう世界を垣間見えるのは興味深く、職種紹介小説という面白いジャンルになっています。
でも、私の好みではありませんでした。
その理由は、物理的な山はずっと作品の中にそびえているのに、物語としての山が明確でないように感じたため。「山の暮らし」「日本古来の生活」そして「林業」を描く小説、というテーマが大前提で、ストーリーは二の次という印象を受けます。
要は、最初は村から逃げ出そうとしていた勇気が、次第に林業に魅せられていくという「過程」が描かれると思っていたので、特に何もなく山を大好きになってる勇気に肩透かしを喰らったのでした。
文章は、飄々としつつも読みやすく説明力があるので、スムーズに読めます。
本作は勇気が書いた日記という体裁なので、勇気がネット接続環境を持っていて、これを「ある林業従事者の日常」みたいなブログでやっていたら、超人気ブログになるだろうと思いました。直ぐ身元特定されたり、頻繁に炎上もするでしょうけれど(笑)。