榎田ユウリ著「カブキブ!」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校1年のクロは、自分たちで歌舞伎を演じる「カブキ部」創立のため東奔西走。遂に親友のトンボ、演劇部の宝塚風スター・芳先輩、オネエで名取の花満先輩、コスプレ衣装作成の神・丸子の5人で同好会を発足する。福祉施設で初舞台「三人吉三」を披露することになったが、出番直前、クロは脱水症状で倒れてしまう。出番を表すツケ打ちが鳴る中、歌舞伎役者の愛人の子と噂される阿久津が現れ、クロの代わりに和尚吉三として舞台へ出ていく。

とてもライトな作品。
梨園関係者やら日舞の名取やら、石を投げれば才能に当たる、としか言い様のない人材揃い。同好会設立までは多少紆余曲折あれど、努力や情熱でどんどん認められていくので、トントン拍子と言っていいでしょう。性格がネジ曲がっているような奴もいないです。
その辺は、現実味に欠けるとか、ご都合主義とか、色々突っ込みながら読み進めましたが、面白いんだから、それで良いのです。
そして、このことは主人公の信念「楽しめれば」とも重なるのでした。

で、実は1巻があまりに良いところで終わるので、速攻で2巻も読みました。
多少省略されるかと思いきや、ちゃんと1巻の直後から描かれたのが嬉しかったです。でも、今回も非常に良いところで終わって、3巻が待ち遠しい状態になっています。
遂に、同世代の観客にも楽しんでもらえる「カブキ同好会ならではの歌舞伎」を作る方針になり、これが観客にウケるのか、そして梨園の子である仁はどう思うのか、楽しみです。

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