- 分類読書感想
中野京子著「残酷な王と悲しみの王妃」
名画に登場する、下記の5人を中心とした結婚の物語。
- スコットランド女王メアリー・スチュアート
- スペイン王女マルガリータ・テレサ
- イワン雷帝
- イギリス王ジョージ1世の妃ゾフィア・ドロテア
- イングランド王妃アン・ブーリン
全体的に断定的な語り口で当時を語るので、脳裏に「講釈師、見てきたような嘘を言い」という言葉が浮かびました。でも、名画と共に人物を読み解いていくという切り口は興味深かったです。画は知っていても、そのモデルや人生は知らない場合が多いことに今更気付きました。
その中では著名なアン・ブーリンについては、先日の「ブーリン家の姉妹」と異なり、ヘンリーを積極的に誘惑したわけではなく、我が身を守る為に王妃になろうと立ち向かっていったという、好意的な描きかたでした。同じ史実の人物を取り上げてこれだけ差があるのですから、歴史というのは楽しいですね。
なお、本書の中で「メリーウィドー生活に入った」という表現がされていて、本当にこういう言い回しをするものなのだな、と思いました。さすが、ドイツ文学者という感じでしょうか。