中野京子著「怖い絵」

全22作品の絵画の読み解き本。
絵画は、絵そのものだけでなく、描かれた背景や時代を知った方が格段に面白いので、こういう解説本は良いですね。
むしろ、ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」などは、解説されないと、なにを描いた絵なのか分かりませんでした。

個人的には、解釈で「怖い絵」になる作品の方が面白かったです。
その例は、ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」。
生活と死が隣り合わせになっている光景と思っていたのが、ヨーロッパではかささぎが好まれないという事実から、密告を意味しているという見方に至る下りはゾクっとしました。

また、怖いとまでは思わなかったけれど、ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」は、時代背景を知って勉強になりました。現代人からすればバレエは芸術として認められているし、踊る少女は裕福に見えてしまうけれど、作品が作られた当時の認識を持ってくると、成程と膝を打ちます。

タイトル通り、見るからに恐ろしい「怖い絵」もあります。
ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
ベーコン「ベラスケス〈教皇インノケンティウス十世像〉による習作」
アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
この辺は分かりやすく「怖い絵」だったので、怖がりの私は少し手早くページをめくったのでした。

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