あけましておめでとうございます!
昨年中は大変お世話になりました。
ちょうど10年前になる、2005年の年賀ネタ(シンフォニア)を発掘しましたので、いきなりですが、ドン!と転載。
第81回箱根駅伝、最後の走者が掛ける紫紺の襷が終着点を踏んだ。
全十九校、二十チームの完走。殊に史上五校目となる○澤大学の四連覇は素晴らしい。見事な逆転、堂々の復路凱旋。正に快挙だ。
だが――
勝負の世界とは、喜びだけで終わるものでない。
映写機が興奮冷め止まぬ現場の様子を伝える中、クラトスの背後で立ち上がる気配があった。
「どこへ行く」
問う声は鋭く世界を切り裂き、対するロイドもまた強い意志をもって応えた。
「俺も走る」
嗚呼、やはり子はその道を選ぶのか。
振り向いたクラトスの苦い想い宿る視線を、彼は真っ直ぐに受け止めた。
「十月の予選会まで、時間がないんだ」
あるひとつの出場チームが、箱根の道に涙を塗布した。
過去の区間記録を更新する激しい走りを見せながら、十一位。シード権を目前で奪われた。
あと一秒。
あと一歩でも早く、走れたなら。
前走者に僅かに及ばぬまま終着を切った走者は頭を下げた。己が走りに対する喜びはなく、繋いだ暗紅の襷すら今はただ重いだけ。全身全霊を賭し駆けた男の、その魂が足りなかったなど、誰が言えよう。
だが、彼は敗者だった。
名門と謳われたのも過去の残光であるのか。
否、違う。その走りの輝きを、クラトスはよく知っていた。それは古い時代に彼が追い、今取り戻した光。ミトスの理想、そしてロイドの純粋なひたむきさと、あれは同じ煌めきだった。
――ロイドが踵を返した。
「待て」
制止の声を子は振り払った。
「早まるな、ロイド」
クラトスとて彼の気持ちは分かる。
だからこそ、止めねばならない。
「ロイド!」
しかし伸ばした手は届かず、閉ざされた戸に遮られ最早届かぬ声が、部屋の中に沈痛な色をもって落とされた。
「早○田大学は……お前には無理だ!」
今年はどんなドラマが待っているのでしょうか。
私も、ロイドに負けずに今年はなにごとにも走ってみたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。