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宝塚花組「風の次郎吉 ー大江戸夜飛翔ー」11:00回。

笑って笑って、ちょっとホロリとする、気持ちのいい小作品でした。
端役まで全員キャラクターが立っているし、北翔海莉主演作品としては、ファンが見たいものを詰め込んだという意味で成功していると思います。
サブタイトルを「OH! Edo Night Show」と読ませる時点で、色々といい加減な「なんちゃって時代劇」ですが、そうであるが故に、なかばショー的な感覚で疾走感を楽しめるのだと思います。ピンクライトの入浴シーンやら山吹色の御菓子に「御主もワルよのう」なんてお約束台詞が出て来たら、笑うしかないわ!
客席も全体的に前のめり感で楽しんでいました。終演後に帰り支度をしていても、アナウンスで「お手を拝借」といわれた瞬間、皆が手締めに参加したのは、宝塚ファンの統制力もあるでしょうけれど、舞台との一体感と充実感があればこそでないかな。
斎藤先生の作品は、映像多様が定番になっていて、今回も背景はスクリーン。オープニングは特撮アニメ寄りの演出で個人的には気恥ずかしくなりましたが、幕間にアイキャッチ的な映像を流したり、フィナーレ前にTV時代劇風のエンドロールを流したのは、面白い使いかただったと思います。
若干、一階席でないと分からないシーンがあったのと、手妻芸を見せた後の騒動では人がゴチャゴチャしていて舞台上が見難いとか、多少不満もあるけれど、楽しい気持ちに水を差すことはありませんでした。

ポスター掲載の4人以外、誰が出演しているかも確認せずに見に行ったので、あまりキャストを意識していなかったのですが、一人一人まで顔が見える公演だったので、一気に花組下級生に詳しくなった気がします。
殺陣、手妻、三味線と色々大変そうでしたが、みんなちゃんと熟しているのが凄いですね。

メインキャスト

鳶の次郎吉

次郎吉@北翔海莉は、根明な江戸っ子の次郎吉、育ての親に対して真っ直ぐに愛情を表現できないヒネた素の次郎吉、そして鼠小僧と、色々な顔を見せるのですが、それぞれが乖離せず一人の人間としてキチンと纏まっていたと思います。
遠山金四郎@瀬戸かずやは、スラリとした長身で飄々としつつ、次郎吉の友人にして鼠小僧にとって最大の障害として存在感を見せていました。歌やダンスでこれという武器がないのが惜しいけれど、近年では貴重な男らしい男役なのでは。
手妻の幸@仙名彩世は、上手い。若干アニメ声だと思いましたが、滑舌が良く歌も聞かせます。次郎吉と繋がる過去も背負っているので、単一ヒロインで良かったのではないでしょうか。
目明しのあやめ@桜咲彩花は、出番は多いもののキャラクターとして書き込まれていないのと、メイン4人の中で一番実力が不足していたのが残念。十手持ちとしての姿はなかなか決まっていましたが、娘姿がもう少し華やかで見違えるようだと良かったのでは。

悪役チーム

石川一馬@鳳真由は、同情の余地がない純粋な悪役。鳳くんも、こういう悪役を演るようになったのですね。
小松屋@紫峰七海は、こういう性格の悪いオカマ役、相変わらず上手いですね(笑)。
勇人@柚香光は、モブとして登場しているときも格好良くて見栄えのするスターだとつくづく感じました。相変わらず歌がネックですが、このくらいの出番だと素直に新進スターとして応援できますね。

その他

相変わらず花組娘役は層が厚いとビックリしたら、花咲@花野じゅりあ堀田けい@華耀きらりでした。しっとりとしたエロスのある花咲は良い女だし、三冬のような女武芸者のけいは、人の話を聞いていないところも含めて可愛く感じます。
佐久間光江門@冴月瑠那は、女装が似合う線の細い男役だと思っていたので、意外にも大人の男として落ち着いた髷姿で、役者だなと思いました。
三助@天真みちるは、三枚目で、いかにも彼らしい役ですが、出しゃばり過ぎずに楽しませてくれました。オチも含めて、凄く好きです。
三郎太@水美舞斗も二枚目。それなのに、誠実で嘘偽りのない真面目な男という説得力がありました。
本田吾介@神房佳希は、これまたコミカルな爺やで、いい味を出していました。
甚八@夏美ようは、なぜか異様に若く見えて、次郎吉の育ての親というには老け感がないなと戦きました。

2015年最初の観劇が、楽しいもので良かった! これからの舞台も楽しみです。

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