宝塚花組「祝祭喜歌劇 CASANOVA」15:30回
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宝塚花組「MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−」「BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−」15:30回。
宝塚花組ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」11:00回(e+貸切)。
原作未読。
オタクの基礎教養として、ギムナジウムものだとか、少年愛が云々という偏った知識だけ持った状態での観劇となりました。恐らく、一度しか観ないのであれば、原作を読んでから観劇した方が良かったのだろうと思います。
ビジュアルは文句なく、役者はよく熱演していますし、絢爛豪華な舞台です。だから退屈はしないのだけれど、総括としてはなんだか平坦な印象でした。
出来事が羅列しているだけで、ここぞという盛り上がりが見当たらない、総集編的な作りだったのが要因かと思われます。ストーリーラインに問題があるわけでもないし、それぞれの出来事は魅せてくれるのですが、もう少し取捨選択して強弱をつけるべきだったんじゃないかな。
原作の要素を取り零さないようにしたせいで、慌ただしい展開になったのかなと思いきや、交霊会は別エピソードからの要素なんですね。割と尺を割いていたので、これをスッキリさせて、各シーンに時間を再配分していたら良かったのでは。
色々盛り込みすぎで、舞台上の時間の流れが性急だったように思います。永遠を生きるバンパネラにとって、時間はもっとゆっくり流れているのでないかしら。見た目のゴシックな重さと釣り合わないように思いました。
そんなわけで、話題の大作、そしてミュージカル界では指折りの演出家念願の舞台化、という前評判に対しては、若干の消化不良がありました。
個人的に一番良かったのは結末。現代社会のどこかに今もエドガーはいる、と感じさせる余韻が残りました。
以下、特筆したいキャストのみ。花組からご無沙汰していたので、生徒の見分けはついていません。
エドガー@明日海りおは、代表作、代名詞として名前が残るのでないかなと思います。
一族に加わる前の普通の少年らしさと、バンパネラになってからの魔性の存在感の両立がよかったです。そして、自分から望んでそうなったわけでない哀しみと苦しいと怒りが渦巻いていて、その感情が舞台を動かしていたと思います。
メリーベル@華優希は、病弱で華奢な美少女の雰囲気が出ていて、エドガーの溺愛ぶりも納得です。
ジェイン@桜咲彩花は、善良で綺麗だけれど田舎の地味な娘という雰囲気が抜群。メリーベルへ見せる母性と、先程まで自分の膝に縋っていた少女が塵と化した時の衝撃の見せ方が良かったです。
ビル/ハロルド@天真みちるは、メインの役は出番が多いハロルド(アランの叔父)の方だと思うけれど、ビルの方で歌唱力を披露していて、ここでグッと掴まれました。
フィナーレは、アグレッシブな男役群舞が良かったです。
宝塚花組「風の次郎吉 ー大江戸夜飛翔ー」11:00回。