宝塚花組「MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−」「BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−」15:30回。
ミュージカル「MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−」
島原の乱を舞台にした作品。
初報の段階では、日本物という時点で興味はありませんでした。しかしーー
先行写真やポスターを見て、「島原の乱」ではなく「魔界転生」だったか?と突っ込みたくなったのでチケットを取りました。実際の舞台では、ここまで激しい妖魔風の印象ではなく、適度にロック程度の塩梅で安心したような、がっかりした様な(笑)。
一方、キリシタンでない松倉や江戸城の人々は普通に日本物の格好で、ある意味わかりやすくなっていた気がします。
題材が題材なので辛い話ではあるのですが、大道具、照明など、舞台ならではの美しさを堪能できました。
本作では、天草四郎@明日海りおを元倭寇の頭目・夜叉王丸としていて、なかなか荒々しい救世主像に感じます。
つまり島原の住民からすると余所者ですし、思い返すと、尺の都合上、乱を起こした上で死んでも良いという決意に至る動機はあまり描かれていないのですが、熱量で説得されてしまいました。
逆に、山田右衛門作@柚香光は、決起の時は皆の変貌についていけない様子なのに、いつの間にか四郎を認めていて、少し腑に落ちませんでした。そのくせ、幕府軍との交渉の結果をきちんと報告せず、全滅への引金を引く様な行動も支離滅裂で、自分が抱え込もうとしたにしても格好悪く感じます。鈴木が矢文を送ってくれたから四郎も事情を理解したし、その上で「誰も改宗しない」という結論が出たことにされているからまだ良いですが……。
山田裕庵として江戸城に呼び出された時の、自ら十字架を背負って生きている男の「侘び」感は非常に素敵でした。
ショー・スペクタキュラー「BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−」
蝶たちに誘われて始まったプロローグは、なぜか真夜中の花園。
娘役の衣装配色が、花は花でも「毒の花」という印象で戸惑いましたが、全体的には見せ所満載で満足できるショーでした。
御洒落なパリの場面(傘のダンス)、スパニッシュ、夏全開なJPOPメドレー中詰に、黒燕尾など、定番や盛り上げる要素を詰め込んだオモチャ箱感。宝塚愛を歌い上げさせるのも、野口先生の得意技ですね。
後半、ガーシュインメドレーの辺りでフィナーレが始まったと思い、「体感時間が短かった」と思ったら、まだまだ盛り沢山だった裏切りは、良い裏切りでした。
アイドルPVっぽい「花美男子」で、若手花組男子の層の厚さを見せ付けられました。
本作で退団する天真みちるが、要所で魅せ場を貰っているのは嬉しかったです。
そのほかでは水美舞斗が活躍していて、スパニッシュ(闘牛士マノレテ)の場面における「死」の役の美しさは記録として残しておきます。ただ、グラディエーターでも明日海と水美が闘う場面があったので、後者は他の役者に振り分けても良かったのでは。