碧野圭著「銀盤のトレース」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
フィギュアスケートに打ち込む朱里は、バッジテストに落ちたり、県大会でミスをするなど伸び悩んでいた。しかし今は廃れた基礎技術「コンパルソリー」を教わり、ひたむきに練習を繰り返すことで力を付け、バッジテストに合格する。

フィギュアスケートを題材にした小説。
少女がフィギュアの世界の中で成長していくお話ではあるのですが、フィギュアスケート業界のシステムを勉強する優秀なテキストといった雰囲気。バッジテストなんて、存在も知らなかったので面白かったです。
ただし、お話としては、燃え切らないまま終わってしまいました。コンパルソリーを教えてくれた往年の選手など、色々な要素が出てくるのですが、触りだけで、それらが生かされ切れていない印象。と思ったら、続刊が出ていたので、納得しました。

母親が、フィギュアにのめり込み過ぎることを危惧し、辞めさせようと考える辺りは、私もこの年齢になると親の気持ちが分かるので、自分の子供だったらどうするか、と考えさせられました。
また、父親の「スポーツをやっていると本人の努力だけでは乗り越えられない理不尽な目に遭うことが多々あるが、それが人間を成長させる」という主旨の台詞には、目から鱗が落ちました。

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