萩原浩著「メリーゴーランド」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
累積赤字47億円の第三セクター「駒谷アテネ村」再建のため出向を命じられた地方公務員の遠野啓一は、天下り役員等の前例主義に振り回されながらも、ワンマン市長の援助を受け、新しい企画でアテネ村を徐々に盛り上げ、仕事へのやりがいを感じ始める。しかし、市長選で「利権の遺産一掃」を掲げた新市長に変わると、アテネ村は閉園が決まる。

途中、主人公がうまい具合に行くかと思いきや……という、やりきれない思いを受けました。イベントを成功させた段階までは爽快だけれど、そこで終わらず、最後に残るのは寂寥感という辺りは、軽いノリの文体に似合わず大人向けの読書ですね。

劇団ふたこぶらくだの過去の公演として語られる「豆男」は、物語のテーマそのものであり、そして誰もが豆男であり村人だという点が、現実なんだと思います。
個人的には、「豆男」の回想後に春宮が述べる「ゴジラ」談義が、日本人の国民性をうまく説明していると思いました。

この国の人間って、昔から闘っても勝てないものをたくさん相手にしてきたから、闘うのが下手なんだよ。サムライの国なんかじゃない。百姓の国。無理して闘おうとすると、舞い上がるは、とち狂うはで、ろくなことにならない。誰が何をするかじゃないて、誰かが何かをしたから、んじゃオラもやるべって、周りを見て雰囲気で突っ走るだけ。みんなで集まって耐え忍ぶほうが得意なの。そして、そうやって耐えてる自分たちが実は案外と好きなのさ

しかし、こういう劇をやっている劇団では、確かに食べて行くのは難しいでしょう(笑)。

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