予告通り、本日は35話の展開変化についてお話しします。
まず、最終封印の場合は、最終話までの各話でなにが起こるか決まっている「全体展開プロット」があります。これは非常に簡素に各話でこなす内容をメモしただけの物です。実際の指示をここにコピーしてみると、


【35話 砂漠の旅→遺跡発見】


と、これだけです。こんな感じのメモが取り敢えず最終話まで続いてます。

実際の執筆に取りかかると、この「全体展開プロット」から、その話の展開を決める「話プロット」を作成します。
原作に存在するイベントの場合は、区切りの良い所まで台詞を写せば、後は細々したキャラの動きを付けるだけで大体決まってしまいます。しかし35話の場合、原作にイベントとして存在しない、フィールドを歩いているだけのお話ですから、所謂オリジナル話と言う事になり、自分で考える事になります。
今回はここに、34話トリエットの夜イベントで盛り込めなかったクラトスとの会話を入れる事にしました。
と言う事で、まずこの台詞が書き足されました。


「お前は太刀筋が粗い。もう少し隙をなくすよう心掛けるのだな」


さて、原作イベントで「太刀筋が粗い」と言い出すのは、ロイドを凝視していた事を指摘されたクラトスの照れ隠しでしょうから、唐突でも良いのですが、道を歩く間、突然そんな事を口走るのもおかしい話です。ついでに言うと、クラトスとロイドがレネゲード基地で再会した時点で、ロイドは剣を振るっていません。聖堂後のロイドの太刀筋を実際にクラトスが見てから言い出す方が自然な感じだな、と此処まで纏まり、35話にはフィールドを徘徊している敵との戦闘を盛り込む事にしました。

なお、戦闘の話にまつわる要素ですが、前話までのオリジナル要素として、ロイドは基地で剣を回収しませんでしたので、これを手に入れるエピソードを入れようと予定していました。
これは、財布を握っているリフィルに剣を買うお金を出してもらおうとした所、無駄遣いを許さないリフィルが、2本分のお金を出してくれない。どうしても必要なら理由を作文にしなさいと難題を付け、ロイドが困っていた所にクラトスがお金を出してくれると言う展開でした。子供に物を買い与えると言う行為を、是非はどうあれクラトスにさせて上げたいなぁと思ったものですから……。
上記含めた出立前後のエピソードは、後の展開との兼ね合いやテンポの都合からカットされ、地の文に回想として盛り込まれています。

戦闘自体は、ロイド的にはそんなに問題のない物だった方が、クラトスの台詞がムッと来ますので、あくまで相手は雑魚。さほど描写を割かず勝てることにしておこうと決定。
そうすると、戦闘して遺跡を見付けるだけの話では潤いが足りないので、もう少しなにか盛り込みたくなります。そこで、この先のイベントでのノイシュに関する会話を一部前倒しする事にしました。

ここまでで、35話のプロットはこんな感じになりました。


【一行は砂漠の道を行く。ロイドの腰には朝購入した剣がさがっている。
蛇が現れて戦闘。快勝。華麗な勝利、とポーズを決めてみせる。戦闘の立ち回りの瞬間だけは暑さを忘れているロイドだが、直ぐに倍になってのしかかってくる。
戦闘が始まった途端、ノイシュは一目散に逃げていた。
「また逃げ出しやがったな」
揶揄する子供たち。
「魔物に敏感なのだろう」
なんだ優しいな、と思いきや自分には
「お前は太刀筋が粗い。もう少し隙をなくすよう心掛けるのだな」
ちょっと俺より腕が立つと思ってえらそうに。…だいぶかな。
小言までもらって暑さだけでなく疲れる環境だ。砂漠は飽き飽きだぜ。
遺跡を進路に発見し、一行は向かう。】


この時点で、まだ竜は登場していません。その上、せっかく大人数の旅になったのに、コレットとリフィルが描写不足です。まぁ、リフィル先生は結局仕上がりでも出番がありませんが、その分、次話で弾けてくれる筈です。

ここから更に変化していく様子は、また明日の日誌にてご紹介します。

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