宝塚月組「1789 ーバスティーユの恋人たちー」15:30回を観劇。
役替りはBパターン(オランプ:早乙女わかば、ソレーヌ:花陽みら)。次回、Cパターンも見る予定です。
フランス革命を民衆の視点から描いた作品。
面白かった!
フレンチミュージカル×小池修一郎先生潤色は「ロミオ&ジュリエット」が肌に合わなかったので、少し心配していたのですが、今回は問題なし。華やかで見応えがありました。なにより、月組は主要キャストが全員一定レベルで歌えるのが素晴らしいですね。
あと1回分チケットを持っていますが、これならもっと回数を重ねても良かったくらいです。
高評価から書き始めましたが、2幕は革命後のエピソードが散漫で、これで終わりか、と拍子抜けしました。
また、ロナンとオランプが恋に落ちる切っ掛けが掴めなかったり、拷問がやたら陽気だったり、色々と突っ込みたくなる要素はあります。
そうした部分的な駆け足は否めませんが、革命に至る流れは劇中情報だけでちゃんとわかります。そして各エピソードが単なる歴史語りになってしまうことなく、人々のドラマとなっていると思いました。漫画「ベルサイユのばら」のファンには、「ベルサイユのばら」ではなく「1789」を観ていただきたいくらいです。
ただ、主役に登場の拍手を入れるタイミングがなくて、最初の個別拍手をもらっているのがアルトワ伯爵だったのは気になりました。演出的に仕方ないし、宝塚でなければ気にならないことですけれどね。
フィナーレは、尺が長い気がしたけれど、元が初舞台生仕様だったからでしょうか。
とりあえず、大階段に座って待機している男役勢が、震えるほど格好良くて、「イケメン品評会か!」と思いました。
パレードの衣装が、役の衣装ではなく、新調の白い服で統一されているのが新鮮かつ綺麗でした。
2回目もあるので、キャスト感想は主要メンバーだけ簡単に。
ロナン@龍真咲は、少し若い演技でしたが、元々いつまで経っても「若い」という雰囲気がある役者なので非常に合っていたと思います。
アントワネット@愛希れいかは、素晴らしかった。現実では2時間半、作中でも短い期間の中で、気侭な王女のまま成長した享楽的なアントワネットが、王妃として成長していく姿を描いていました。
主人公の相手役という意味でのヒロインではない、ということで役付に物議が湧きましたが、最早彼女以外のアントワネットは考えられないくらいの出来でした。
初登場シーンのルーレットからの三変化は愛嬌たっぷりだけれど、王妃として立場を自覚してからの一番シンプルな白いドレス姿が何より美しかったです。
オランプ@早乙女わかばは、こんなに芝居のできる役者だったか、と嬉しい驚きがありました。作中、3人の人物から想いを寄せられているわけですが、この人の場合はヒロインオーラがあるので納得できます。
アルトワ伯@美弥るりかは、美味しい役。観劇後に役名が「シャルル・アルトワ」であることに気付き、この人がシャルル10世になるのか!と愕然としました。確かに、革命の熱狂が去った後のフランスを統治はできたわけですね……。
革命家チームは三人一組的な扱いが多いので少し勿体ないのですが、見せ場はそれぞれにあり、ロベスピエール@珠城りょうは2幕冒頭の競技場シーンを見て、この人に先導されたくなると思いました。そんな彼が、この後は恐怖政治を始めるんだから、清廉すぎる思想は怖いと思います。
カミーユ@凪七瑠海は、一番「甘ちゃん」の印象。
ダントン@沙央くらまは、人柄が見える役だったと思います。単に私が好きだから? でも、ロナン側では唯一可愛いところのある人で、応援したくなる温かみを感じました。
フェルゼン@暁千星は、こんなに歌えるとは知らず驚きました。やはり幼く見える感が残念ですが、抜擢に応える頑張りは見えました。
オウミ