喜多嶋隆著「きみがハイヒールをぬいだ日」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
広告ディレクター・中川凛は、大学で専攻した心理学を基に数々のヒット広告を生み出したが、業界に疲れて離職した。離職中に依頼された仕事で、超有名監督にCF撮影させるというライバル社案に対し、凛はシンプルなメッセージ広告案を提示し、プレゼンを勝ち取る。同時に、人々の気持ちをすくいあげ、共感を得るという自分のポリシーを守って広告を打ち出す自信を取り戻す。

お洒落なサクセスストーリー。

主人公がCD(広告ディレクター)として有能すぎ、負け知らずなので、少なくとも1件くらい、彼女の感性を理解しないクライアントでプレゼンに負けたというエピソードがあった方が、緊張感があったかな、とは思います。
でも、この作品の肝は、広告業界出身の作者が、業界についてや、自分がどうやって広告を作ってきたかを紹介しているという要素だろうと思うので、これはこれで良いと思います。
実際、作中で紹介される広告はイメージが頭の中で広がる感じで、なかなか面白いです。
最終的な作品にも、カメラマンに素人の忍を起用するのはちょっと行き過ぎだと思いましたけれどね。

割と頻繁に食事シーンが出て来るので、微妙に「飯テロ」感がありました。
そしてプロジェクトBのメンバーがみな良く飲み食いするのは、前向きでパワフルな人間であることを示唆してるのかな。

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