井上ひさし著「青葉繁れる」

東北一の名門校で落ちこぼれている稔たち5人が、女体に妄想を抱いたり、目的もなく騒ぎを起こすやりたい放題な日々と、そんな学生たちを見守る教師たちを描いた作品。

教師陣に対する渾名のセンスは夏目漱石著「坊ちゃん」、おバカな男子高校生をリアルに描写しているという点は嵐山光三郎著「夕焼け学校」に通じるものがあると思います。
こうした、学生の蛮カラな自主性を第一とする教師たちがいた時代が本当にあるんだな、と思うと少しビックリもします。

東京から来た転校生・俊介以外は、全員仙台弁を話すのですが、この方言が生きていると思いました。「ま」が抜けている、という俊介の指摘がある通り、稔たちはボンクラ揃いですが、方言と組み合わさるとその緩さが当然の雰囲気になって、非常にあたたかく感じました。

女性蔑視な面がある点は、時代設定を考えればまったく気になりませんでしたが、基本的にはかつて男子高校生だった男性向けの本かな、と思います。
また、長編ではあるものの全体通してのオチが見当たりません。そのため、少し物足りない気がしました。

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