幡大介著「千両役者捕物帳」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
旅一座の女形・千代丸は、北町奉行所同心・桜山家のご母堂の凶器を鎮めるため、亡くなった娘の身代わりを演じたところ、今度は遠縁の親戚・千太郎として跡継ぎに仕立て上げられてしまった。一座も者も千太郎の小者を演じつつ、八丁堀の陰謀に巻き込まれていく。

予備知識なく、本屋で「時代劇」フェアとして平積みされている中から、面白そうだ!と直感で選んだ本。
タイトル通り、末は千両役者と見込まれている女形の千代丸と仲間の旅芸人達が、姫君や同心等の役を演じつつ謎の事件を解くコミカルな時代劇。ある種の演劇小説である点や、旅一座のキャラクター性、出自は小作人の役者が同心たちの世界を盗み見る面白さといったものがありましたが……残念ながらこのお話はシリーズの1巻目だったのですね。そのため、一冊丸ごとが序章。登場人物の紹介と、多くの謎を提示しただけで終わってしまいました。正直、拍子抜けでした。

藤本勘太郎一座の面々が、キャラクターとして立っているだけでなく、頼りなかったり狡かったりしつつも、肉親のような情で結ばれていて、みんなが千代丸を助けようと必死なのが良かったです。
また、最初のお芝居をしているときの、台詞がすっぽ抜けてアドリブでとんでもない展開にしてしまう辺り等は多いに笑いました。

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