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宝塚月組「舞音 ーMANONー/GOLDEN JAZZ」11:00回(e+貸切)を観劇。

だいぶ遅くなりましたが、本作が今年の観劇始めです。

まずは、ミュージカル「舞音 ーMANONー」。
アベ・プレヴォ著「マノン・レスコー」を下敷きとして、舞台をフランス植民地時代のインドシナ(ベトナム)に変えたオリジナル作品。原作未読。
宝塚歌劇で、東南アジアを舞台とする芝居は珍しいと思います。「ジャワの踊り子」等、何作かあるのは知っていますが、私は初めて観ます。

率直に言うと、長い話だと感じました。
恋愛物なら恋愛物、政治物なら政治物で、どちらかをメインにして欲しかったです。二兎を追うもの一兎をも得ず、とまでは言わないけれど、色々な要素を詰め込み過ぎて、まとめるのに終始してしまった感。破綻はしていないし、結果として役が多いのも良いことですが、なんだかどっち付かずに感じます。
「愛こそすべて」という結論からすると、恋愛物だったのでしょうけれど、私にはシャルルがマノンを愛しているように見えませんでした。もう一人のシャルルは、確実にマノンを愛していると見て取れたのですが……(苦笑)。
マノンの側も、シャルルと駆け落ちした後に彼を試すようなシーンがないので、愛を求めているようには感じなかったです。ファムファタルと言うには、幼く純真なだけのようで、それは演者の個性を活かしての結果かも知れませんが、物語のテーマがどこにあったのか、分かり難くしてしまったのでは。
もっと恋愛体質で、熱量が高いトップコンビが演じていたら、全然違う印象になりそうな作品だと思いました。
東南アジアのオリエンタリズムな美術と音楽は素敵でした。
また、囚人の解放を求める祖国の歌の合唱は迫力があり、月組の歌唱力に改めて驚きました。

続いて、グランドカーニバル「GOLDEN JAZZ」。
全編をジャズで綴るショーというと、花組で約10年前に「TUXEDO JAZZ」という作品を上演していました。そちらを映像で観た私の率直な感想は、「全編ジャズは飽きる!」というものだったのですが、今回は、上演時間が短く感じるくらい面白かったです。
オープニングが「聖者の行進」、中詰めが「Sing Sing Sing」と鉄板曲で盛り上がりつつ、アフリカンジャズにおける原始的なリズムも盛り込まれていて、ジャズと言っても多様性がありました。
客席参加の箇所は、e+貸切のためかほとんど踊っていなかったけれど、タンバリンはしっかり鳴って盛り上がっていました。

以下、キャスト感想です。

シャルル@龍真咲は、妖精だとかダメ男は結構巧いと思うのですが、「地に足の着いた人間の男」は不得意という、非常に特殊なスターだと思いました。
ショーは輝きが弾けていて良かったです。意外とこの人はショースターだったのでしょうか。
マノン@愛希れいかは、合っていない役だったと思うけれど、本人の魅力は非常に良く出ていました。

単独二番手としてショーでの扱いがぐっと増えた、クオン@珠城りょう。「1789」以降、急速に格好良くなったと思います。芝居の役は、そこまで悪い奴とも思えず、これは演者の“善良さ”のせいかもしれません。
クリストフ@凪七瑠海は、こっちは真面目に善良なタイプ。こういう良い男が親友だから、シャルルという人物の男が上がるなと思いました。しかし奥さんが居なければカロリーヌ@早乙女わかばと結びつけることが可能なのに、なぜ既婚者設定なのか、と少し憤慨しました。
もう一人のシャルル@美弥るりかは、埋もれない存在感もあるし、無言の演技が非常に巧かったですが、シャルルと同一人物(心情を示すキャラクター)であるということが、初見で分かるように、最初から台詞を言わせてあげた方が良かったのでは。

反政府運動のチームは、圧倒的美形のカオ@朝美絢や、リアルさに外部の芝居を見ているような気がしたホマ@海乃美月など、役者は揃っていたのですが、たとえ理想が崇高でもそのために犠牲を強いている時点であまり魅力的に感じず、どう描きたかったのか脚本に疑問が生じました。
ショーで、華がある下級生!と目を惹き付けられたと思ったら、暁千星。この辺が、新人公演主演経験者の力量でしょうか。
アフリカンダンスの歌い手は、以前も注目した千海華蘭。朗々とした素晴らしい歌声でした。

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