南陀楼綾繁著「小説検定」

小説ないし小説家にまつわる、8つのテーマの問題集。
義務教育を受けた日本人ならほぼ答えられるだろう問題から、知らなくても推理して解ける問題もあれば、「知るか!」と言いたくなるような奇問まで、各種揃っています。
例として、「食べ物」の上級問題から1つ引用。

問2
次に挙げる料理名が入ったタイトルのうち、小説として存在しないものは?
[A]やきそば三国志 [B]かつどん協議会
[C]冷やし中華太平記[D]支那そば館の謎

私は一冊も知らなかったけれど、回答の解説を読んでいたら、読んでみたくなってきました。
問題自体は、正直どうということもないし、特に私は作家自身に興味がないタイプなので、作家にまつわる問題はピンと来ませんでした。しかし「こんな小説があるのか」という発見が多く、面白かったです。

縄田一男編「食欲文学傑作選 まんぷく長屋」

タイトルと、縄田一尾氏編集という点で、時代小説アンソロジーだと思ったら、7作品4作品は現代物でした。
でも、時代物の方が圧倒的に面白かった一方、現代物は私には合いませんでした。

収録作は下記の通り。

  • 池波正太郎著「看板」
    さすがに池波先生。アンソロジーテーマの「食」はさり気ないアクセントとして使われていて、それが却って引き立っていると思いました。
  • 筒井康隆著「人喰人種」
    この手のブラックユーモアは苦手なので評価不能。人喰いシーンは良い気がしませんでした。
  • 尾崎翠著「アップルパイの午後」
    戯曲形式という時点で読み難い上、言い回しが独特過ぎて面白さが分からなかった作品。
  • 山田風太郎著「慶長大食漢」
    家康の吝嗇と茶屋四郎次郎の美食の話。少々荒唐無稽でも、掴んで話さない話。この家康の性格は、私は結構頷かされます。
  • 伊藤礼著「狸を食べすぎて身体じゅう狸くさくなって困ったはなし」
    頭から最後まで、タイトル通りの話だったので、反応に困りました。
  • 火坂雅志著「羊羹合戦」
    太閤から拝領した紅羊羹より美味い羊羹を作るドラマ。非常に面白かったです。
  • 日影丈吉著「王とのつきあい」
    読み応えはあったけれど、グロテスクな内容なので、食事の前に読んだのは大失敗でした。

1編ずつの感想とは別に、「食欲文学」と銘打っているのに半分くらいは食欲が減退するお話だったのが残念でした。食欲を刺激するような、美味しいお話が読みたかったんだけれどなぁ。

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