帝国劇場「1789 バスティーユの恋人たち」12時回(おけぴ観劇会)
http://www.tohostage.com/1789/
本日の配役は下記の通り。
ロナン:小池徹平
オランプ:神田沙也加
マリー・アントワネット:花總まり
シャルロット:万座みゆ
ルイ・ジョセフ:大河原爽介
宝塚月組版(日本初演)の感想は、2015年6月27日記事と7月18日記事参照。
宝塚版の良さと巧さも改めて感じたけれど、東宝版も期待通り面白かったです。
脚本は概ね宝塚版踏襲でした。大したストーリ—ではありませんが、フランス革命が分かりやすく潤色されているので、特に不満はありません。ロナンとオランプが恋に落ちる早さは、何回観てもビックリするけれど!
歌は、宝塚版で入れ替えた楽曲をオリジナル版準拠に戻しているところもあれば、「私は神だ」がアルトワのままだったり、宝塚版の新曲(オリジナル没曲)も入っているし、逆に削られた曲目は復活していたりと、両者の良いところ取りをした感じです。
本作は、打ち込み音楽の上に、キャッチーにして難解な歌が乗っているという、音楽が冒険しているミュージカルなので、沢山曲を使ってくれるのは嬉しいですし、満足度も高いです。
しかし、私が本作で一、二の名曲だと思っている「声なき言葉」がなかったので、完全版とは言えないのが残念!
また、出演者が宝塚の半数程度なので、「三部会」のシーンは人形劇形式で行われました。演出としては非常に面白かったですが、ラマールたちがすべてのフレーズを歌うので、やや分かりにくいと思いました。
以下、役者ごとに簡単な感想です。
主人公ロナン@小池徹平は、振る舞いは粗野だけれど絶妙に可愛くて、学のない農民、というポジションがしっくりくる説得力のある演技でした。
歌唱力も十分。「自由と平等」のラップ箇所以外は、まったく安心の出来でした(ラップは、続くデムーランも酷かったので、比べると小池徹平は巧いと思いましたが)。
非常に小柄で、ソレーヌの方が姉に見えたので、こちらの組み合わせは、いっそ姉弟設定でも良かったのではないでしょうか。
オランプ@神田沙也加は、声が非常に良いですね。もちろん歌も期待通りの歌唱でした。利発で真面目な職業女性という風情で、好感の持てるオランプでした。
初めて生で観ることになったアントワネット@花總まりは、さすがでした。
存在感と同時に透明感があって、特異な役者だなと思いました。
ソレーヌ@ソニンは、一幕「夜の女王」は率直に言って期待外れでしたが、二幕「世界を我らに」は迫力がありました。本作の楽曲はテンポも独特だし高低差があって難しいことは分かっていましたが、相当の技術を要求されることがよく分かりました。
ダントン@上原理生、ロベスピエール@古川雄大、デムーラン@渡辺大輔の革命家三人組は、個性付けという意味では上原理生の一人勝ちだったように思います。歌が一番安定しているのはもちろん、体が大きいためか、踊りも意外と目を引きました。しかしソレーヌとロナンが再会するシーンでの笑いを誘うのは失敗していたので、間の取りかたを研究して、愛嬌を入れると良いのでないかなと思いました。
古川雄大は、三部会の人形の動きが巧くてツボに入りました。
渡辺大輔は全体的に硬くて音程も不安定。ビブラート具合が宝塚版でデムーランを演じた凪七瑠海の声に似て聞こえて、不思議な気持ちになりました。
ラマール@坂元健児は美味しすぎ。王党派に属する男性陣の印象をすべてかっさらってしまいました。カーテンコールの拍手が一番大きかったのでは……。まあ、私も大好きですが!
トゥルヌマンとロワゼルに個性が見えず、どちらがどちらだったか、最後まで分からなかったのが残念。
王党派で期待していたうちの一方、ペイロール@岡幸二郎はさすがの迫力と、素晴らしい鞭使いでしたが、もう一方のアルトワ@吉野圭吾は、「私は神だ」のキーが完全に合っていないようで、苦戦している姿を初めて拝見しました。
催眠術と媚薬でオランプを操ろうとするエキセントリックな面と、大物のように振る舞っているけれど滲み出る小物感は良かったです。
フェルゼン@広瀬友祐は、フェンシングのスタイルが格好良かった。
東宝版の役作りで唯一物申したかったのが、ポリニャック@飯野めぐみ。アントワネットへ友情を感じられず、ただ宮廷女性の一人として取り入っているだけに見えました。そのため、フェルゼンに手紙を届けさせるやり取りでは、実は秘密警察と通じているのでは、と疑ってしまいました。
また、もう少し上品な貴婦人らしく振る舞って欲しいです。
子役は二人とも可愛いらしかったです。
シャルロット@万座みゆは、ダントンとの大小コンビっぷりがオシャマで可愛いですね。