池井戸潤著「民王」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
総理大臣に就任した武藤泰山だったが、脳波を操られ、頭の中がドラ息子の翔と入れ替わってしまった。入れ替わった二人は出鱈目な答弁をしたり、就職活動の面接で一席ぶってしまう珍騒動を繰り広げる。やがて、黒幕を突き止めた彼らは、翔の友人が、母親の病死から医薬品認可の緩和を求めて黒幕に協力していたことを知る。元の身体に戻った泰山は、党と製薬会社との関係を無視して緩和法案を通し、解散総選挙に踏み切る。一方、翔も内定に汲々とせず理想を語った父のお陰で最終面接に進んだ会社に合格する。

サクっと読めて、肩の凝らない痛快エンターテイメント。
最後は、父子が立場を入れ替えることで、お互いを理解して、翔は人間的に成長し、泰山は初心を思い出すということで気持ちのよい終わりかたでした。

ただし、現実にあった出来事がネタになっているため、私は読んでいる間も脳裏に現実がチラつき、手放しで面白い!とは思えませんでした。
「史上最強の内閣」もこの時代だったので、麻生太郎元首相という人物は、ネタにしやすいのでしょう。
日教連問題だとか、泥酔会見だとか、ありましたね。
とはいえ、漢字が読めないバカ息子の翔が、秘書の原稿を読めず「ミゾユーの危機にジカメンしており〜」とやってしまう辺りは、中継で見ている泰三の反応も含めて笑いました。

翔はとんでもない馬鹿なのに、アグリシステム農業や日ノ出製薬の志望動機が真っ当且つ読ませる文章なので、ネットからコピー&ペーストというオチかと勘繰ってしまいました。私の方が発想が下衆だった(笑)。

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