阿部智里著「烏は主を選ばない」

八咫烏シリーズ二作目。
一作目「烏に単は似合わない」(2016年1月13日記事参照)は、終盤「はぁ!?」と口を開けて終わりました。
そういう次第でしたので、続刊を読む気はなかったのですが、二作目は面白いとコメントを頂いたので、半信半疑読んでみました。

前作の同時間軸で、若宮側の行動を、側仕えとなった少年の視点から描いた作品。
前作同様、最後にどんでん返しはあるものの、今回は読者に与えられた情報から推理もできるし、素直に読める内容でした。
松本清張賞という権威を取っ払い、ライトノベルと思って読めば確かに面白いです。
ぼんくらを装う雪哉と、うつけを装う若宮と、良いコンビだと思います。雪哉は宮廷物をやるには台詞回しが子供っぽすぎるけれど、実際に子供だと思われるので許容できました。でも私は第一印象を引き摺るタイプなので、若宮は好きになれなかったです。説明の手間を惜しむ人間は、人の上に立つべきでないと思っています。

ただ、私は雪哉が近習を断る結末には納得したと同時に非常に気持ちよく感じたので、文庫版の解説にビックリさせられました。

第三作『黄金の烏』では、ついに若宮はこの山内を襲う大いなる敵と戦いを始める。そんな彼のそばにいるのは、『烏に単は似合わない』で選ばれた后と、『烏は主を選ばない』で得た腹心の近習だ。

……結局、近習になるのですか? 雪哉と若宮の相性の良さから考えると、二人を引き離す理由がないけれど、ちょっと残念です。

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