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宝塚月組「NOBUNAGA<信長>/Forever LOVE!!」11:00回。
開幕前のアナウンスが秀吉と光秀のコント仕立てになっていて、拍手で始まりました。

ロック・ミュージカル「NOBUNAGA<信長> -下天の夢-」

龍真咲のトップ任期中は、良作を多数やっていた印象があります。しかし、よく考えたらそのほとんどは再演・海外ミュージカル。新作オリジナル芝居は、個人的な好き嫌いは別として、万人に勧められる出来でなかった……と思い出しました。

本作の率直な第一印象は、お話の体を成していないということ。
信長の半生を1時間半で描く都合上、時系列が飛び飛び&前後し、歴史知識がないと分かり難いのですが、そのくせ史実と異なる展開をするので、歴史を知っているほど、中盤以降は唖然とすることになります。
以下、ネタバレ注意ですが……
比叡山に浅井長政とお市本人が身を寄せていた段階で少し困惑したのですが、一番の問題は長篠の戦い直前に、柴田勝家以下全家臣に裏切られるという展開でしょう。斬新過ぎて、話に付いていけなくなりました。

また、プロローグで「敦盛」を舞っておきながら、そこに繋がりません。
退団公演らしいやりとりや、死なずに海外へ逃れるという結末は夢があって良いけれど、それなら敦盛は必要なかったと思うのです。仕方ないので、プロローグのみ正史で、桶狭間以降はロルテスのせいで運命が分岐した架空戦記(しかし歴史の修正力によって本能寺の変は起こる)と解釈することで、なんとか納得しました。

お話自体には困ってしまいましたが、たくさんの組子に出番、歌、台詞がある点は非常に楽しかったです。
日頃は役がつかないような生徒でもソロがあり、これを機に下級生を個別認識できそう。
誰よりも漢らしい弥助@貴澄隼人、「ウフフ」笑いが可愛過ぎるオルガンティノ@千海華蘭、「大型犬」な前田利家@輝月ゆうまといった、日頃は地道に脇を締める役者たちが目立つ役を貰っているのも嬉しかったです。特に輝月ゆうまは、家臣団の中では一歩飛び出て目立つ役。和物だと切れ長にしたお化粧が格好いいし、妻まつとの体格差に萌えました。
また、浅井長政@宇月颯は、出番はピンポイントながら、清涼感のある美しさでファンを増やしたと思います。

反対に、スター勢は割を食っていたと思います。特に帰蝶@愛希れいかとロルテス@珠城りょうは描写不足では。ソロ曲はあるものの、その間はピンスポットだけで退屈等、演出的に少し疑問が残りました。

シャイニング・ショー「Forever LOVE!!」

文句無しに楽しいショー!
タイトルの通り、龍真咲他退団者への愛(LOVE)に満ちています。これを千秋楽に観たら泣けると思いました。

前半のラテンナンバーは定番だけに、あっという間に盛り上がります。
月組らしい男役の女装の絡みは、凪七と美弥が蠱惑的。ただし、凪七瑠海のアドリブは、事前打ち合わせがなかったのか巧く噛み合ず、「オチがない!」と教育的指導が入っていました。
中詰の黒燕尾から始まるEXILE及び三代目J Soul Brothersの曲を使った踊りと歌は、息をつく間もなく激しく展開し、痺れました。専科の沙央くらまが、2〜3番手くらいに錯覚する良い使われかたをしていて、ファンとして嬉しい反面、申し訳ない気持ちにもなったり。こういうとき、自分の立ち位置はどこにあるのか、心理分析すると面白いなと思います。
愛希れいかを中心としたアフリカンダンスは、「Golden Jazz」の既視感があるもの、見応えがあります。
そして、退団者を送る「Ardent LOVE」以降は、直球の演出だけに心に沁みました。
でも、しんみりと終わらせることはなく、デュエットダンスの代わりに1人で歌い終えた龍真咲が、最後に銀橋で「小雨ふぶき」風お辞儀をして観客を笑わせていたのが、彼女らしい明るいラストだと感じました。

藤井大介先生の近年の作品からは、イマジネーションの枯渇を感じて不安だったのですが、無用の心配でしたね。脂が乗っていた時代の作品と比べると、キャッチーさは不足しているかもしれません。しかしどのシーンも捨てる箇所がない、見所で構成されたショーでした。

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