伊吹有喜著「BAR追分」

【あらすじ】
新宿追分の「ねこみち横丁」に、昼は「バール追分」、夜は「バー追分」という二つの顔を持つ店があった。ひょんなことからねこみち横丁で暮らすことになったライター志望の青年宇藤は、店で横丁に訪れる人々を観察することになる。

短編構成。
新宿伊勢丹の裏手、新宿三丁目交差点の辺りと言われている土地をイメージしながら読みました。
本当にありそう、あっても良さそうと思う空気感で、ほっこりしました。

北川恵海著「ちょっと今から仕事やめてくる」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
ブラック企業に務めて衰弱した隆は、路線に落ちかけたところを、中学時代の同級生「ヤマモト」と名乗る男に助けられる。かつて、過労による心神喪失で双子の兄弟を失ったヤマモトによって、隆は職を失うよりも自分が失われることを悲しんでくれる家族の存在を思い出し、会社に辞表を提出する。

本書の秀逸なところは、サラリと読みやすいことと、キャッチーなタイトルだと思います。
内容は、率直に言って薄いと思いました。

今現在、楽しく仕事している私ですが、社会人1〜3年目の頃は、不愉快な上司と性に合わない勤務内容のコンボで「辞めてやる」と思ったこともあります。
そのため、最初のうちは「そんなこともあるかも」と思いながら読んでいたのですが、主人公・隆の勘の悪さや要領の悪さ、そのくせ上司には何も言えず無言なことなどが癇に障って、イライラしてしまいました。
同級生だと思っていたヤマモトの正体があやふやになる分が、一番面白かったです。

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