浅田次郎著「一路」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
江戸から田名部郡へ帰参した小野寺一路は、急死した父の代わりに参勤交代の差配を負う供頭を勤めることになった。役目の一切を知らぬ一路は、家伝の行軍録を基に、古式に則った参勤交代を決行する。道中、自然の険しさ、殿様の風邪、謀叛の企みなど、様々な艱難に見舞われつつも、一行は江戸へ辿り着き、一路は今後も己の領分で「一所懸命」働くことを誓う。

面白かった!
田名部から江戸まで駆ける行軍の速度に釣られて、上下巻を一気に読んでしまいました。

なんだかんだと巧く運びすぎな部分はありますが、苦労話が主ではないので、私は構わないと思います。
参勤交代(それも、古式ゆかしき行軍式)の描写という縦軸だけでも十分面白いところに、うつけと思われている殿様への謀叛がどうなるのか、という横軸があり、先へ惹き付けられます。
登場人物も総じて魅力的です。
物語を語る視点は、一路と殿様が中心ですが、話が進むに連れ、かなり細かく視点が切り替わります。それぞれの人物の内面が見えて、なかなか考えさせられます。また、馬や鯉の視点まであるのですが、これがなんとも可笑しみがありました。

同じく参勤交代をテーマとした「超高速!参勤交代」(2014年6月15日記事参照)を思い出す箇所もありましたが、方向性が違うのでそれぞれ楽しめました。
「超高速」が「虚」を排除できるだけ排除して「実」を取る作品だったのに対し、「一路」が「虚」をすべてこなして、虚の中にある「実」を見出すところに、武士の美学を感じました。

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